Miyazima Hiroyoshi Furniture Studio
家具の色は、素材のそのものの色 |
2009.11.26 |
|
草木染めというものがあります。自然界の色で染める技法であります。
自然素材の色は、まさにその命が色となって私たちに与えてくれる一つの恵みだと言えます。美しく染められた糸や布を見ると、つい手にとり、触りたくなってしまいます。「気持ち良さそう」と心で思います。それはおそらく、私たち人間の本能が求めているからではないでしょうか。私たち人間が本来求めている人間らしさや生命らしさは、成長とともにフィルタがかかっていってしまい、心の根底では感じていても気づけなくなってしまうそうです。
私自身、家具に染色を試みたことは、何度かあります。結果は、惨敗です。木、本来の色が隠れてしまいます。悪くないというレベル止まりです。素材が中から放つ生命の色彩と光の反射や吸収で美しいと思える訳ですから、単に色というカテゴリーの問題ではないことに気づかされます。
では、木肌の美しさは、清潔に保たなければ失われるかと言えば、単純にそうとは思えません。例えば外部に用いた場合、木はだんだんと彩度がなくなり、シルバーになっていきます。それは、白黒写真の様なリアリティーさえ感じます。
家の中で家具として使っている場合、なかなかシルバーにはなりません。素材本来の生命の色は持続します。外部に用いたものでも、シルバーになっているのは、ほんの表面だけで少し削れば鮮やかな色が溢れるように出てきます。色とシルバーが共鳴した美しい状態の家具を連想して下さい。
美しいと思えたならば、木の家具のもう一つの側面をお話ししたいと思います。
|
|