hwb work diary 2004.8


8/27 夏の終わりに。
先日の夏休みの事です。
富山県の黒部峡谷に出かけました。画像は黒部の山から上がる花火です。

途中、魚津市に新鮮な魚介類を求め立ち寄りました。
偶然見つけた「魚津埋没林博物館」。




8/21 収納
今日は、朝から現場に行ってきた。打ち合わせと採寸だ。現場はよい。実物と照らし合わせながらの打ち合わせは確認がリアルなのでよい。僕が一番活動的になれるのは、いつも現場である。
現場から帰ってくると、ダイニングテーブルとソファの打ち合わせをしたいとお客さんが待っていた。
先日、だいたいの事は聞いていたので、今日は詳細の打ち合わせである。このテーブルとソファは、贈り物となる。
詳しい内様は控えさせてもらうが、その思いはなんだか僕を熱くさせた。
うおーっ。
今日は打ち合わせをする日であったが、少しは製作の方も進めたいので、合間合間でできるように昨日からの段取りをふんだ。
職人に段取りは大切である。
夕方、打ち合わせをしにお客さんが来店。ジャスト。タイミングがピッタリ。段取りどうりの製作の進行具合は、ひじょうにうれしい。ジャストさかげんが、職人としての僕に感動さえ与えてくれる。
段取りを踏み終えた僕は、ゆっくりとじっくりと打ち合わせができる。
そうこうしていると、12チェストを先々月に作らせてもらったお客さんが来店。
自然とニヤニヤ笑みがこぼれる。ミシンを収納するために大きくセミオーダーした引出しの事が気になっていたので、飛びつくように「アイロン、じゃない!ミシン、どうですか?」と僕。
「まだ、入れてないんですよ〜」と。「早く入れてくださいよ〜」と僕は言いながら、ミシンを入れようと試みるも、ためらう後ろ姿が想像でき、笑えてしまった。大事に思ってくれている事は素直にうれしい。家具なので使って本来の目的が果せるので、使ってやって下さいね。イサムノグチの照明を買いに来てくれたお客さん。たぶん今頃、12チェストの上にあかりが点灯している事でしょう。うんうん、似合うんだなこれが。
出会える人は、何故だか素敵な人が多く、話していると幸せになる。感謝である。
そして今日の最後の来店は宇野さん。オープンハウス一日目を終え、帰りによってくれたのだ。宇野さんとはよく話をするが、結局のところ、お互い話す内様以上にリアル派なのだ。その辺のリアルな部分を共感できる人なので僕はナチュラルでいられるので楽である。
明日はオープンハウス最終日だそうだ。



8/20 通常の平常
お盆休みも終わり、通常の日常に戻りなんだかうれしい。朝からフルスロットルでやる気満々だ。
カップボードの製作に入っている。イタヤカエデの27mm板を椅子以外に使うのはひさしぶりだ。
板組みのカップボードなので、なんだか贅沢な気分である。1500mmの高さのカップボードを作る事となり、新しいボリュームと出会えるのでワクワクしている。
それにしても、イタヤカエデは堅い。休み前に交換した刃物が、すでに鈍くなっている。どうしても、イタヤやメープルは刃こぼれがつき物で、それもその木の特性と思って気分よく付き合っている。それだけ、堅い材料なんだな。
ダイニングテーブルを作らせてもらったお客さんからの注文で、イタヤの良さを共感しているのでうれしい。



8/16 県外
県外って?愛知県外の事である。長期の休み前後は、県外からのお客さんが多い。
僕らの家具に共感してくれる方に限っては、できるだけそれに答えたいと思う。それは、僕にとっては大切な出合いであるからだ。

5年程前に、前の工房に訪ねて来てくれた人など、今の工房以前の状態を知っている人と再会できる事も多く、そうやって全てはつながっている事に、改めて実感する。
その時とやっている事は何も変わっていないので、驚かれるたびに微妙な気分ではあるが、少しづつ環境は確かに変わっていると実感もしている。実際、以前はお店はなかったし、そういう意味では環境は変化しているのかな。くどいが、やってる事は何も変わっていない。木が好きな家具職人だ。ただそれだけだ。
僕らの作る家具は、使う人がちゃんと納得して決断し選択てくれて、はじめて薦めれる家具なので、むりくりな営業はしないし、苦手だ。だから、セールで売れる家具でもないと思っている。
ただ、共感してくれる人には、正直にいいと思うものを薦めるように自然となっている。後悔させたくないからだ。
前にも書いた事があるが、僕は名古屋生れの名古屋育ちである。当たり前ではあるが、なじみきっているので名古屋で家具屋をやっている。あまり外は意識しないし、僕の家具作りは誰かと比べる物でも無いのでそこはマイペースである。
これからも、手探りで確かめながら、自分の経験による感動のみを信じてマイペースで家具作りに励んでいきたいと思う。



8/14 いろんな物は
16CHEST 

1番最初に作ったオリジナルのチェスト。
25才の時ナラ材に敬意を。
なぜだか見てもらいたくなりました。
お盆休みに入り、静かだ。普段、御近所に多少なりとも音に対して迷惑をかけているので、お盆と正月は工房は完全に休んでいる。
休みが明けると、家具の製作で忙しいので、休み中に段取りをしておきたい自分がいる。

僕は自分で決断してこの仕事をしています。木が好きで、家具が好きで、、、。
そしてそれらを含むインテリアが好きです。「インテリア」と言う言葉にしてしまうと狭い気がしてしまいますが、建築という程ハードな部分ではないので、「インテリア」にしておきます。
ただ、一般的な「インテリア」という言葉の指すものと僕の思うそれは少しずれているような気がします。
一時期僕は、「ライフスタイル」という言葉に過敏に反応した頃がありました。
それも「インテリア」と同じく、僕の思いは、ずれていたと思います。
「インテリア」に関して言えば、室内空間その物以上に、それらが人に与える影響や時間などとのインタラクティブ(相互作用)として感じている部分は多いです。
家具が生活空間を作り上げているとは思っていませんが、ささやかながらに与え続ける影響は大きいと思っています。
家具だけではなく、いろんな普段使いのものは全てにおいてそうだと感じています。
少し飛躍しますが、ただただ思うのは、日本のインテリアが質の良いものになる、もしくは戻ってくれる事を願っています。だから、いわゆる昨日今日の既成概念だけで考えていくと、僕らのライフスタイルはすごく表面的な部分だけで過ぎていってしまう気がして悲しいです。そして物を生み出す作り手が、愛情を注ぎにくい物作りはせつないです。
もの作りをしていく事をライフワークにした僕らは、活き活きとした愛情を根源に「仕事」に取り組む事が一番シンプルな自分でいられるのです。
幸い、出会える人は愛情を注げる物作りをさせてくれる人は多く、本当にうれしくなります。日本の未来に希望が持てます。



8/7 打ち合わせ
今日は1日かけて、キッチンや作り付けの造作家具の打ち合わせであった。無駄は省きたいが、無駄では無い無駄もありむずかしいところだが、僕のできるかぎりの事はしようと思う。
単純な事である。愛着の持てるだけの物を作る、そういう事だ。
無垢材の場合同じ材料を使っても、いろんな表情の違いがあるので、それぞれ似合う場所にも違いが出る。
縦横のバランスやその面積に左右され、どういう風に人が関わるかが、木柄の選択ポイントにもなりえる。
微妙は事なので、任せてもらうしかない。そのセンスが悪ければ、ただの板はただの板どまり。
手を加えれば加えるほど、それなりの愛情がなくては、その素材を活かしきれなくなる。
僕は家具屋なので、板や角材が基本になりそれを組み合わせていく発想だ。そのバランスは重要だと思っている。
強度と機能と見た目の良さは全てつながっている事は多く、そこは非常に興味深い部分でもあるね。
無垢材の家具は、フラッシュ家具と彫刻的な物との間にあるような気がしているんだな。



8/6 把手
現場だ。今日は先日納品した建具に把手を取り付けに出かけた。前から思っていたんだけど、宇野さんの家は家具みたいだ。
画像は、把手を雇いサネ加工し、水にも強力な接着材で圧着しているところだ。ガラスも入りもう家の建具となっているので、失敗は許されません。

この時期の現場にでる職人は、みんな汗だらけだ。
みんなタオル持っている。ティーシャツだって干すさ。

たいへんだけど、気持ちよく帰れるよな。ホント。



7/3  オープンシェルフから。
納品です。
カウンターチェアとウッドアームソファ。ウッドアームソファの前にあるのはチェリー材のコウシのテーブル。ガラストップである。4年程前に作らせてもらったものである。チェリー材が濃くなって、チェリーらしくなっている。
カウンターチェアはクルミ材。クルミ材は、やっぱり作ってから数日経過した状態から良くなりはじめる。オイルやワックスと相性も良く家具にちょうど良い質感だと感じる。自分が家に使うなら、クルミ材にするかな。でも、ナラ材のテーブルもいいしなあ。ウォールナットもいいし、メープルもいいし、カエデもいい。ものすごく迷うだろうなあ。
僕が好きな部屋は結構単純なものだ。壁らしい壁と床らしい床と天井らしい天井が、素材の特性を活かしてそれとなく共存してくれればそれでよい。石は石らしく。木は木らしく。鉄は鉄らしく。それが、結構難しい事なんでしょう。
木を加工していると鉄の事も気になる。木でできない部分は、きっと他の素材で解決すべきなんだろうと異素材意識する。
鉄ならこのぐらいで事足りるんだろうなあ、、とか。布だと軽いんだろうなあ、、とか。石だと反響するんだろうなあ、、とか。
イタヤカエデの木が石のように見える瞬間がある。鉄がやわらかく暖かく感じる瞬間がある。
う〜ん、、、。素材を知れば知る程、彫刻家になりたくなるね。



8/4 シニアなの?
人が真剣に考え事をしている時にかぎって、資料の上で寝出すライ。意味がわかりません。
悩やんで脳が軽くクラッシュしている時は、ライに救われる。「なんていい奴だ〜」と一瞬騙されるが、ライは単純に紙の上が好きなだけだ。僕は知っている。

ホームセンターにアイデアと猫えさを目的に出かけた。
えっ?ライってシニアなの?7才〜はシニア用になっているぞ。そうかあ、、、。一瞬だなあ7年って。



8/3 いろんな材料で
先月末に納品した家具である。3台とも違う材料であるが、同じお客さんからの注文頂いたものである。
左からハードメープルのチェストは衣類を収納するためのものだ。引出しの手掛けはオリジナルで作ったものである。
もともとワイドチェストの引手にオリジナルで作っていたもので、それを長くし指のかかりが良いように彫り込んである。
こういう部分に繊細な仕事をしている。
中央、、、ハードメープルのチェストと並んでいるのが、ナラ材のオープン付きのキャビネットである。イサムノグチさんの照明をオープンの部分に配置してもらう。オリジナルのオープンシェルフを実用的にしたオーダーだ。もちろん、イサムノグチさんの照明も納品させてもらった。
右、、、ワゴン収納。ブラックウォールナットは板の厚みが厚すぎると、なんとも言えない威圧感が出てくるので、できるだけ繊細な線が見えるようにする。棚板収納の下は、引違いの扉収納である。本を収納。細かい部分では、板組みがトメ加工してあるので、木口が見えない。突き板のそれとは違う、これでこそトメ加工が活かされているなあと実感する。木口が見えれば無垢らしいというわかりやすい判断はどうでもいい。質感の違いは明らかだ。

無垢の良さは何かというと、簡単には言えないが、本物という事につきるような気がする。
合板が適材と思う場所には、合板を使う事は賢明な事である。でもhwbの工房では置式の家具に限っては、「わざわざ合板を使う」事の方が、わずらわしい事が多い。そういう加工面での流れが出来上がっているからなあ、、、。
建築の作り付けの家具なんかだと本体は合板で作る事は多い。扉や引出しや天板などは無垢材で作って、上手にその性質の差を活かしhwbならではの作り付けの家具作りはある。これがキッチンになるとステンレスなどの木とはまったく違う性質の素材と組み合わさってくる。簡単にやっているように思うかもしれないが、実はかなりハイレベルな技術と知識が必要となってくる。
ステンレスの性質と、合板の性質と、無垢材の性質がそれぞれ喧嘩しないように、設計しそれを作り上げるそれぞれの職人のレベルが合わないとおかしい事が起きる。まして、それがさらにスケールの大きい建築と組み合わさっていくという事は、繊細かつ大きな視点で考える必要があり、たいへんな事なのだ。
困った時にいつも助けてくれるのは繊細な技術なので、自分が作り手だからこそできる事はあるんだなあと実感する事は多い。


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