hwb work diary 2004.12


12/27 大掃除
今年も終わりですね。今日は仕事納めと言う事で、大掃除をしました。
とにかく工房の整理整頓、必要でないものを処分しました。
普段から掃除だけは気をつかい、家具作りのしやすいような環境であるようにしています。気持ちよく物作りをできる状態である事が何より確かな術で、基本だと思っています。
年末は納品が迫り、明日につなげるべく掃除がおろそかになった部分も正直ありましたが、怪我もなく気持ちよく家具を作りあげる事ができました。
僕らは家具が好きです。それ以上に作るという事が好きです。
環境もさる事ながら、そこで産まれる家具にかかせない僕らの「体」、そしてその「技」その「心」。大事にしていこうと思います。

大掃除も終わり、午後忘年会をしました。「海が見たくない?」と内海まで行ってきました。夕暮れ時の「まるは食堂」にてシャコを食べながら思いました。ありがとう、そしてまたがんばろうと。

画像上 大掃除中の工房。

画像下 内海の夕暮れにて。
左から順にA型ソウタ、学生の見習いタスク、B型中日ファンカツキ、O型妻ケイコ、僕撮影。彼等を見ているとなんだかうれしくなる。



12/26 納品前に
ブラックウォールナットのクローゼットとチェスト。もうすぐ納品だ。時間がかかっただけに、随分いい家具ができた。扉を開けるとアガチス材の引き出しや棚がある。それが箱の中に「家具らしく」ある。なんだか、大切な物を並べて収納したくなる。やっぱりしっかりした無垢材で作る家具は良い。音が違う。質が違う。触りごこちが違う。とにかく違う。僕は家具を作れば作る程、木の事が好きになり続けている。
やっぱりだ、やっぱり。木の家具は木でなくちゃ。



12/23 音楽
今日はカツキの友人夫婦が、遊びに来てくれた。音楽好きのオノダ君達は僕らにオノダセレクトのCDをプレゼントしてくれた。
僕は音楽は大好きだが詳しくないので、詳しい人からそんな物を編集してもらえると、すごくうれしくて感激である。
ブラジルのギターだけのメロディーがなんともたまらい。
音楽って芸術だよね。すごい。テクニック以上に感性勝負というか、いつまでたっても音楽家には頭が上がらない。
最近、突風によってあおられ、フォークギターのネックが折れてしまった(木工職人でも断念状態)だけに、ギターの弦を弾く音が妙に恋しい。
先日、名古屋パルコにてギターをなんとなく眺めていると、「どうぞどうぞ」と言ってくれるので、「じゃあこれを」とマーチンを弾かせてもらった。「これから初められるんですか」と店員さんに訪ねられ「まあ、そんなところです、、、」といってそそくさ逃げるように帰ってきてしまった僕は、ははは、、、初心者初心者となんとも爽快な気分で、ゆるい気分で楽しんでいる。
ケイコのお父さんは、昔からのジャズ好きだ。たまに家に遊びに行けば、「ヒロくんヒロくん」と、いろんなスピーカーでいろんなジャズを聴かせてくれるのだ。「アンプはつけっぱなしで寝る時も音楽を聴いているんだ」「もちろん、目が覚めるとどっかからジャズ聞こえてくるんだ」と得意げだ。
そんな訳で、音楽に囲まれて暮らしている人も素敵な人が多く、その人達といっしょにいると時間を忘れさせてくれる。
今、仕事に追われている僕は1曲に無限の時間を感じる程、とても楽しく1日を終わろうとしている。
さあ、明日もがんばるぞ。



12/21 ナラ材のキッチン



12/20 納品
今日はお店の休業日。で、休みを利用し三ヶ日まで、下駄箱を納品。
先日、キッチンを納品させてもらったお宅である。

ナラ材の下駄箱は、キッチンを納品した時に、決まっていたサイズを変更した。
理由は単純である。実際空間を見たら、「もう少し幅を狭く背を高くした方が良いな」と思ったからである。変更して良かったと思う。
下駄箱というより、置式のチェストである。それが良い。
アンティークの建具や椅子がいたるところに配置されていて、雰囲気のある家具達の仲間入りとなってくれれば幸いである。
アンティークのナラ材家具は、割れていたりキズが入っているが、本当に魅力がある。なんというか、、、深さを感じるというか。とにかく時間が経過したという事実があってこその物だから、いろんな物語りを想像してしまう。
愛着を持って、使い込んでいく。
なんとなくではあるが、僕は思う。物の本質を見て、その奥深さの魅力を感じる事ができる人は、その物とともに生きていっているような印象を受ける。
けして物に遊ばれる訳でもなく、その人自身にかなり近いというか、、。だから、大事にしてくれるような気がしてうれしいんだ。



12/18 打ち合わせにて
師走らしく(?)忙しく仕事をさせてもらっている。
僕らの家具作りに共感してもらえなければ、注文なんて頂ける訳はない。
どれだけ、真剣になれるかだ。
ないものを作り出すのだから、大変である。
物作りが死ぬ程好きじゃなければ、めんどくさくてできないだろう。もちろん、お金を頂いているからには仕事である。
でも仕事だからと割切って切り捨てれる程、瞬間の物でもなく、逆に結果だけを求めている物でもない。
僕にとっての家具作りは、夏休みの自由課題のように何か大きな感動を見つけるための挑戦であり、それは僕が気持ちよく過ごせる生き方なんだとも思っている。
困難にも挑む事ができる、心のある職人でいたいと素直に思う。

0.5mmの差に共感してくれる人もいれば、感覚的な部分に共感してくれる人もいる。いろいろな要素はあるが、結局のところ「僕の家具作りのありのままを見てもらう」事こそが、うそがなくて僕も楽でいい。

今日は、昼間は製作で忙しくて夜になってしまったが打ち合わせに行かせてもらった。先日、作らせてもらった家具に再会できたので、ついつい眺めてしまう。3500mmのテレビ台(下半分のウーハ−収納部はネットが貼ってある)とソファ。となりにはダイニングテーブルと01チェア。確かである。
年末に時間ができたら、昼間に遊びに行かせてもらう。
年末にむけ、ただただがんばるのみ。



12/15 師走だなホント、、。
師も走るとは、良く言ったもんだ。12月は、なぜかカウントダウンされてしまう気分である。正月待ち。気持ちよく新年を迎えるためにだ。休みは休みで好きだけど、休み中も家具職人の僕は、たいていうずうずして何かを作っている事は多い。ちなみにだけど。

スケジュールは、製作のペースを考え、できる範囲の段取りを組んだものである。
だから今製作させてもらっている家具は、打ち合わせをし注文を頂いたのが10月頃のものである。
打ち合わせはものすごく大切で、「何を大事にするための家具なのか」がものすごく重要である。箱一つであっても板1枚であっても、目的が違えば自然と違ったものが出来上がる。これこそ、人がなせる仕事だとも思う。
感覚的な部分は人によって価値観の相違から微妙に違って当然な訳なので、僕としてはそれぞれの感覚を尊重する事から、家具作りははじまると思っている。
打ち合わせをし家具を作るたびに、いろんな良さを発見できるので、余計にそう思う。

僕の家具作りは、図面だけでは作る事ができない。
とにかく、話をしない事にはモチベーションも見失いかけるどころか、どこに向けてよいのかさえ、わからなくなる。
よくよく考えてみれば、お金欲しさに家具を作っている訳でないので、僕の目的意識はお客さんと間に生まれている。木工職人としてのモチベーションは、「いい物を作ろう」という単純な思いから成り立っている。
仕事っぷりぷりだ。

胸をはって生きる事は、理由もなくできる事でないと思う。
自分をだましては、結局のところ自分らしく生きる事すらできなくなってしまい、いい物作りをする目的意識どころではなくなる。
大切な事は、僕という職人なりの家具作りをしていく事なのである。

画像は師走の僕らである。
上 大きなクローゼット。3枚の框扉が付く。昨日まで床に寝かせた状態で作業をしていた。移動も手間なので、寝かせた状態でできる作業を全て終了するまで粘っていたからだ。今日、午前中に本体を起こし、キャスターの上にのせた。
それだけ段取りしておきながら、たぶんもう一回は寝かせて作業をしかねないO型の僕。

中 ケイコとカツキが打ち合わせをしているところ。このコンビは絶妙なバランスで成り立っている。イメージを優先し伝えるO型のケイコと、自分のフィルターに勝手に通しイメージ以上の物を作りあげるB型のカツキ。

下 ものすごく慎重なソウタ。完璧に作りたくてしょうがない。
ジグ(型板)にそってトリマーにて切削しているのは、オーバルダイニングテーブル。オーク材は堅いから切削は大変である。オーバルダイニングは一つ一つのパーツそれ事体に魅力がある。惚れ惚れする。オーバルを作るA型のソウタは楽しくてしょうがない。見ているこちらも楽しい。

師走だからじゃないけど、がんばっている。



12/8 板 
板ができ上がった。クローゼットに使う板が、ようやくこれで全て揃ったというところだ。
クローゼットとなると、大きさから想定してもかなりの重さになる。引き出しの底板から本体の背板にいたるまで、無垢材で作る。
背板や框扉のはめ板は、薄くしている。27mm板の板を帯のこで引き割り、ブックマッチ(人工的になるので恥ずかしいのだ、、。)にはしないが木柄を作る。木柄作りはパズルだ。

長さにもよるが、このくらいの厚みならいけるという数値がある。薄板は、反っていてもある程度コントロールできるので、本体の板作りとは違う部分を意識する事となる。木はおもしろい。触れば触る程、その感覚を言葉で表現がするのが難しくなってくる。伝えにくい。あれは感覚的な事だろうなあ。
とにかく、いい木との出会いもあり、満足のいく鏡板ができた。框の扉は追い柾〜柾目材の部分をすでに木取りしてある。優先して柾目を確保し、木取りをしてから1週間経過した。「狂いたいだけ狂いなさい」って壁にもたれかけさせている。だいたい大きく引き割る木取りの段階で、グワッと暴れ反りくるので、木取らん事には始まらない。

これは僕の経験でしかないが、どんなに乾燥してある材料でも、大きく引き割れば、そのバランスが崩れ、なるようになる(反る)。反らない場合もあるが、それはそういうバランス(中和的)だったという事で、乾燥具合とはまた違う。
なるようになるので、そこは逆らえないところだ。反ったものを利用する事はあるが、反るものは反る。
逆に、柄の場合(木柄を合わせ板を作る作業)は、意識すればある程度コントロールできる部分である。
と、いろいろ作業中は考える事が多く、ついつい独り事も多くなる。
ホント、その家具が出来上がるまでは、その材料とデートをしているようなもんだ。厄介だあ〜。



11/9 納品
納品です。家を建てている状態で、どんな家具を置くか相談して頂きました。図面で感じ取れるサイズ的なものは、結局数値ですね。
それをどれだけ、ヒューマンスケールに置き換えていかにリアルにイメージできるかが、僕の創作の出発点です。
部屋に合った家具を作り、納品し配置した瞬間に感じる喜びは、ないものを想像し作りだす責任の重さの分だけ大きいです。
実に良い。
また、機会があれば後日画像をアップしたいと思います。

画像は納品前、お店で撮影したドレッサーだ。
いい家具だ。



12/5 木の01チェア
01椅子だ。
プレゼント用にオーダー頂いたもので、「座面を木にして欲しい」という要望で作った木座01だ。

木座が違和感なく感じるのが、僕には不思議だ。
01といえば、「ざっくりとした布で貼りくるむ」事が僕の中で定着しているので、違和感を感じても不思議ではない。
結局のところ、僕の見ていたポイントは輪郭と間であったのかもしれない。
素材と構造との共鳴は、僕に気持ちのイイ瞬間を与えてくれる。

新作の椅子にという訳ではないが、ドキドキする創作意欲をかき立ててくれそうな素材がある。それはものすごく気になりながらも、僕が今迄逃げてきたと言ってもいい素材だ。
逃げてきたには訳がある。それは、「好き=できるようになりたい」と思いにくかったからで、木と同様、簡単には扱えない自然素材だからだ。本物を追求しようとしていけば行く程、深みにはまりそうで、、、むしろ、はまりたい。勉強だ。よし本革について勉強だ。
もし、革のスペシャリストで木と組み合わせて物作りをしたいと思っている同志がいたら、是非連絡して欲しい。夜な夜な、研究し合いたい。



12/4 イタヤ
イタヤのテーブルはやっぱり綺麗だ。テーブルというより、天板が綺麗だ。石みたいにつまっている感覚がある。
テーブルの天板になるという事は、使い込まれ艶が出る運命にある訳だ。
ちょうどいいよなあ、、、。



12/3 来年の事。
鬼が笑う?来年の事をすでに考えている。僕らの家具作りを求めてくれる人がいる事は、うれしい。来年は、京都に家具を納品に行くし、先週取り付けさせてもらったキッチンや家具を仕上げれるし、カフェの椅子やテーブルも作らせてもらうし、、、今から楽しみである。
とにかく、本気で欲しいと思ってもらえているならば、本当に光栄である。そして、やる気も出る。
12月は、オーダー家具のクローゼットやテーブルなどのオリジナルの注文を頂いているので、クリスマス迄に納品すべくがんばっている。僕も自分にベッドを注文したい。



12/1 師走ですね。
先週は納品+現場仕事が多く、なかなか日記を更新できなかった。現場にて取り付けた家具で、今の状態でお見せできるものはこのキッチンのみである。三ヶ日までキッチンを納品した僕は思った。三河の人はやさしい。方言がそう思わせてくれるのか、穏やかな気分で仕事をさせてもらった。
画像左 脚のあるキッチン。お客さんが持ち込んでくれたihクッキングヒーターをビルドイン。ナラ材の扉や引出しが、より家具らしく見せてくれた。素朴な雰囲気は大好きである。
画像右 ナラ無垢天板にステンレスで板金したシンクを取り付けた。アンダ−タイプは木口から水が浸透しやすい。が、逆に考えようによっては湿気がこもりにくいので、カビにくい。素材や作りによって、メリットデメリットは必ず生じる。何を優先するか、何が必要な事なのか、自分の価値観でセレクトしていく事こそがオーダー家具(キッチン)のきっかけである。大きく違わなくともみんないっしょな訳はない。微妙な差で十分雄一なものになると信じている。帰りにみかんを頂いた。三ヶ日みかんだ!今月、下駄箱が完成したら再度納品に行く予定である。

話は変わるが、先週、取付けに行ったAさん宅の家具。
打ち合わせを重ね、家具をデザインしそして作り、、、。全てを見て頂いたような気がする。まだ現場はこれから壁の仕上げをしていくので、取り付けた家具は養生した。しばらくの間、静かに待機状態となる。

お客さんの家具を納品する度に、思う事がある。それは僕と打ち合わせをしてきたお客さんとの中でしか味わえない満足感である。
家具は納品して使いだしてからが大切である。いつでも呼んで頂きたい。喜んでメンテナンスに行かせてもらう。


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