hwb work diary 2004.11


11/25 家具を納品
お客さんと打ち合わせをし、考えてきた家具。いよいよ納品だ。
と、いっても現場に取り付ける必要があるので、まだまだ作業は残っている。使ってもらえる日が楽しみだなあ。

無垢材っていうものは、簡単な気持ちで加工できる材料ではないと思う。毎日、無垢材を加工している僕はそう思う。
加工した製品(板や角材)を材料にしている訳ではなく、その板や角材を作る事から加工は始まる訳だ。
どの部分をどの場所に使うのが良いか判断しなくては、木取り作業は進まない。木取りからスタートである。
ちなみに木取りされる前は、材料として保管された状態だ。その前は乾燥中で、さらにその前は丸太から製材されている状態だ。

扱いは難しいが、その特性を理解し利用できれば、逆に扱いやすい素材にもなる。
特性を理解しなくては、無垢材を加工してはダメな気さえしてくる僕だ。
柔軟に対応できるかどうかは、加工技術ともう一つ大切な事がある。その時々に木に聞いてみないとね。
その時々、その素材を手に持って悩む事しかないような気がする。
だから、素材を手に持てる範囲のスケールで作っていく家具は、僕にとって心地のイイもの作りのできる範囲でもある。
素材を手に持ち毎日勉強しているつもりであるが、それでも知らない事が出てくるから、ありがたい。
木から教わる事は非常に本当に多く、小細工をしたところで自然の力には無力な事も多い。なるようにしかならないが、その方向を良い方に向ける事は幸いにしてできる。ちゃんと言うなら、それぐらいしかできない。だから懸命に取り組む気持ちがないと、木がそっぽを向いてしまうんだろうな。
そっぽを向かれないように、木と対話しないとね。



11/17 苦楽
今日は非常勤講師の日であった。普段は金曜日に授業をしにいっている。今日は先日のプレゼンのため、スケジュールが変更で、授業をする事になった。家具作りを教えている。
若い(僕も若いが、、32才)、彼等のためにできるだけ精一杯授業をしている。本気である。だから、帰宅するとものすごく疲れているのに気がつく。
もちもん嫌な疲れではなく、ただのエネルギーぎれなので、御飯を食べてしっかり睡眠をとれば復活する。
卒業製作に取り組んでいる彼等に言う事は、「研究できる環境があるという事の、貴重さ」を理解し、「苦しみを乗り越えての達成感」を経験してほしいという事である。
失敗を恐れず挑戦して欲しい。
こころからそう思う。



11/12 キッチンだ。
今日はキッチンが完成した。しかも2台。うれしい。
1台はナラ材の無垢天板のキッチンだ。
画像はそれで、オイルを塗っているところ。

もう1台は、ブラックウォールナットのカウンターの付いたキッチンである。天板はステンレス。

作りのに時間がかかる分、キッチンが完成していくのは、本当にうれしい。

でもでも、自分で作っていちいち感動しているのには訳がある。しょうがない、良い物はよい。
ブラックウォールナットのキッチンは夜に組み上げたので、暗くなってしまった。明日、明るい時間に撮影しよう。



11/11 現場採寸
今日は午前中の時間をたっぷり使って、現場採寸させてもらった。僕らの作る無垢材の家具は、できるだけきれいに家に取り付けたいと思っている。
綺麗な仕事は気持ち良い。
現場にはカツキとソウタも連れて行った。現場を見てどういう具合に家具を作るべきか考えるためにも、重要な時間だったと思う。
全体を見ながら、細部にも神経をはって作っていかなくては、感動するレベルのものを作る事はできないような気がする。
ひとつひとつの工程にも、意味があり目的がある。
それさえ理解いれば、あとはしっかり作っていく事に専念できる。



11/9 納品
納品です。家を建てている状態で、どんな家具を置くか相談して頂きました。図面で感じ取れるサイズ的なものは、結局数値ですね。
それをどれだけ、ヒューマンスケールに置き換えていかにリアルにイメージできるかが、僕の創作の出発点です。
部屋に合った家具を作り、納品し配置した瞬間に感じる喜びは、ないものを想像し作りだす責任の重さの分だけ大きいです。
実に良い。
また、機会があれば後日画像をアップしたいと思います。

画像は納品前、お店で撮影したドレッサーだ。
いい家具だ。



11/8 アームチェア
納品に間に合うようにワックスを施したアームチェアとデスク。
アームチェアはオリジナルのセミオーダーだ。アームの部分を幅広くした。
デスクと組み合わさる訳ではないが、ブラックウォールナットの面(天板)とナラ材の線(椅子のフレーム)とのバランスがあまりにも良くて、思わず組み合わせてしまった、、。

もうすぐ納品だー。



11/3 1年前は
おっ!11月だ。う〜ん今年も後2ヵ月って、びっくりするよね。
去年は工房での仕事もしながら、お店のオープンの準備をしていた。お店をオープンするには、ものすごいエネルギーを必要とした。

「はい、いついつまでにオープンします」と簡単に行くはずもなく、気持ちのバランスを保つ事が大変だったのを覚えている。
焦って解決できるような店作りでもなく、「納得した物を」確認できるまでの葛藤の日々は、正直、脳がとろけそうなぐらいであった。
現実逃避はしたところで前に進む事はなく、ただただ現実と想像とを少しでも近つけていく事のみ、癒しであったような気がする。
ストイックな事ではない。考えを現実の物にするには、プライドというか、美学というか、そういった自分自身だけの納得し確認するという葛藤なしにはできない事だと僕は思う。もし、物作りのマニュアルがあったとしても、知識にはなるが、それは身にはならないとも思う。

基本をしっかり訓練し、冒険心からの失敗とねばり強さの勝利である成功を、一つ一つ確実に身に付けていかなければ、そう簡単には、自分の必殺技にはならない。と、思う。

僕の知らない事は当たり前のように多く、探究すべく日々考えると、なんだか生涯忙しいような気がしてしょうがない。

←去年の僕とカツキ。ボードを貼り終えペンキも塗り終え、、、、。そして、雑巾がけが楽しくて楽しくて。


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