hwb work diary 2003.3

3/24 クルミ材のテレビトロリー
クルミにてものすごくシンプルなテレビ台を製作。ものすごくシンプルなので、すぐ完成できる。
テレビ台の相談は多い。ただ、部屋の大きさもさまざまであるし、テレビだっていろいろ。収納させるべき物もいろいろ。
液晶、プラズマ等タイプもいろいろ。
主役はテレビを中心としたシステム。
引出しの中に収納して見えなくした物だってある。どちらにしてもインテリアを左右する家具として、機能美的な提案もしていくべきであろう。
僕らが作る家具の中で、より機能的な要素を必要とされるものは、キッチンであろう。
スペース配分はもとより、収納方法とそれに伴う使いやすさなど、いくつものパターンを想定し予測しなくてはならない。
使いやすさは日頃の使用者の癖(なれ)も考慮していくと、これが1番なんていうキッチンシステムなんてあり得ない事がわかってくる。その人(その家族)にとって最も似合うキッチンにするには、家族みんなで本気で考え、僕らといっしょに考え作っていく方法が1番納得のいくものになるのかもしれない。
僕は小さい頃、ダイニングテーブルで宿題をしたくてしょうがなかった。
寂しくない場所だからね。



3/18 あし
デスクの脚。丸く削りだしたオーク材。2枚のホゾでしっかりと組み込む。
加工を終えるといつも思う、オーク材はやはり堅い。



3/17 desk
オーク材のデスクを製作している。
オーク材はナラ材よりも堅く、重い。同じ木でも育った気候によっての違いは加工をしていると手を伝わって感じる事ができる。

このデスクのクライアントとは直接御会いして打ち合わせをさせてもらった訳ではない。と、いうのもホームページを見て頂いていた方から、ネットで注文を頂いたからである。
ホームページで判断し、購入して頂く事にすごく感謝をしている。うれしい。

holly wood buddy のお店をおオープンするにあたり、現物を見てもらい、触ってもらい僕らの家具のクオリティーや質感を確かめてもらえればと思っている。無垢の木は同じ材料でも、まったく同じ表情を持つものはない。自然素材なだけに均一を求める部分はそこではなく、技術によってのクオリティーなのかもしれない。違った表情の木目をどこに組み合わせていくか注意深く選択していく他ない。
木が好きでしょうがない僕らは木の魅力を存分に発揮させるべく仕事に取り組み続けている。
だからこそ、取り組んで出来上がった家具を見て触って感じてもらう事が何より大切なんではと思う。
そんな心境の中、ネットで注文頂く事に感謝すべき最大の点は「信用をして注文してくれた」事である。
本当にうれしく思う。だからこそ、その信用に答えるべくオーダーを頂いた家具に一生懸命取り組むのである。



3/14 新たな旅立ち
今日は教え子達の卒業式であった。家具デザインの専門学校の非常勤講師としてその子達と2年間過ごしてきた。週一日ではあるが、彼等とふれ合う中で感じた事は、学生という立場で作る作品は、僕らプロが作るものとはあらゆる方向からして違う。
僕ら家具職人は自分の経験を最大限いかし技術に変え、時間とも戦わなくてはならない。
教えれる事は家具の作り方、道具の使い方。伝えたい事はむしろその背景。ただ、単に形の良さのみ追求した物なんてあり得ない。
そこに作り手使い手の思いなどの背景があり、それが見えかくれする物の方が魅力を感じる。
量産品でも同じだ。学生の作品も同じだ。
卒業生達が、湯呑みを贈ってくれた。「お世話になった先生方、休憩の時この湯呑みでお茶を飲んでくれ」と。
これでは、お茶を飲むだびに思い出すではないか。
こちらこそ、ありがとうである。
がんばろう。



3/12
納品。クルミ材天板のテーブル。
脚はステンレスの磨いたもの。宇野さんからのオーダー。

その他、キッチンのクルミ材の扉やパネルも搬入した。
現場で、ボックスとステンレスのワークトップと連結されキッチンカウウタ−となる。



3/10 毎日の
ここ数週間、1日の時間配分を変えてみた。お店作りをする時間を増やしてみた。
朝から夕方4時まで通常の仕事に励む。その後はお店作りタイムだ。
仕事が忙しく、暇な時間なんて存在しない。このままではお店がオープンできないと判断。
毎日コツコツお店作りもしていく事にした訳である。

一家具職人の正直な気持や日々の奮闘具合を感じてもらいたいとはじめたholly wood buddy のホームページ。過去の日記を見てもらえばわかると思うが、一人の木工職人としてのページであった。
間もなくHWBは開業して5年を迎える。一人ではじめたHWB的家具作りは、少しずつ成長していき個人的なものではなくなりつつあるのは感じている方も多いと思う。
ただ、僕自身はどんな状況になったとしても、家具職人として仕事をしていく、それは変わる事はない。
家具を生み出す作業が、僕にとってちょうど良いのだ。設計している時も、打ち合わせをしている時も、材料を選んでいる時も、作っている時も、現場で取り付けしている時も、納品している時も。僕が疑問に思う事や良いと思う素敵な瞬間や物は、家具職人として行動している時に感じる事が多い。
お店がオープンすれば、今以上に多くの人に知ってもらえる事となりそうだが、僕らが追い求めるものは決して知名度ではなく、質の良い家具作りであり、あくまでも自分自身に向けられた挑戦なのである。
本当に納得できる仕事ができた時こそ、最大の満足度を得られるのは知っている。



3/8 枠
デスクの枠を仮組。これが、框組(枠組)の構造である。フラッシュ家具では、まずこんな構造にはならない。
建築でいえば、在来工法にあたるのか、、。
家具の修行に入る前、好きでいろんな本を見ていた。その中で印象的だったのはシェイカーの家具だった。素朴なんだけど、すごく綺麗。高級に見せるために付けた艶でなく、使い込んだ艶が見てとれた。押し付けではない自然な形であった。きばっていた僕はやられた。そして家具って道具だなって意識する事となった。収納家具の枠組みが綺麗だった。枠の段差が面となり、光りを反射させていたのだ。
hwbでは枠のない板組の家具も多く作る。その構造のシンプルさが逆に良いのだが、枠組みの家具は昔からある在来工法という視点から見れば、なんとも雰囲気がある作りではないか。在来である理由は、昔は幅の広い板を作るのは大変だった事もあるんだろうね。



3/7 木取り
オーク材のデスクに取りかかっている。天板からウラ板まで、全ての無垢材のパーツの木取りをすませる。
作業台の数が足りないが、スムーズな加工ができる機械配置になっている。
同時に家具数台分の加工が進行できるようにしている。

夕方になると、表面を削り出されたオーク材が、工房の中を甘い香りで満たしてくれた。
いい香りだなあ。



3/5 オーク材のデスク
ネットで注文を頂いていたオーク材のデスク。明日から製作となるのでオーク材を工房に運んでくる。なぜか今日は風が強く寒かった。2立方程の在庫のオーク材の中から、天板用、引き出し用と仕分けしながら考える。
製作するデスクはhwbのオリジナルのものだ。引き出しの数と大きさを変更したもののオリジナルデザイン家具の製作である。
ネットで注文頂くので多いのは、オリジナルを少し変更させたセミオーダーが多い。でも、思ったよりフルオーダーも多い。
僕らは作っている家具に自信がある。嘘はいわない。
だから、ネットで注文してもらう事に不安もない。もちろん、直接納品したいところだが、配達に行くより作っていた方が仕事ぶりを発揮できるので良いとも感じる。梱包を取り、家具を見てもらえばホームページの画像以上に質感がある事は明らかだ。
僕らのお店がオープンしても、僕は職人である事に変わりわなく、無理に営業する気はない。
作る家具があって、それを段取りし、いかに綺麗にスムーズに作るかを毎日挑戦しているから忙しいのだ。
慣れなんて大敵、緊張感のある仕事に取り組んでいく事こそが、僕らを明日へ導いてくれるのだ。

夕方、突然の訪問客。近所の人だった。完成直前のクルミ材のテーブルを見て、このぐらいの大きさのテレビ台を作ってほしいとの事だ。納期に余裕を見てもらう事とした。立て掛けてある材料を見てもらい材料を選んでもらう。加工して仕上げた状態のものも見てもらう。コストも承諾してもらいその場で注文を頂いた。「また、日曜日にでも旦那と来ます」といって帰られた親子の名前は知らない。でもいい。気が向いた時に来てくれれば良いのだ。だって、僕らは毎日ここにいるから。



3/4 無垢材での新しい方法
クルミ材の扉や天板などが完成していく。今回、新たな方法で無垢材の扉にチャレンジしている。
無垢材で扉を作るには、框(枠)組の構造にしなくては心配である。反りにくくした構造が框(枠)組なだけに、枠のない板状の扉は心細い。スッキリとした板状の扉は良く見るが、ほとんど全てといってもいいほど無垢材ではない。フラッシュ構造の物やランバーコア合板、パーチクルボード、MDFやそれらを芯材にハニカムをつめ、突き板合板を両面から挟んだタイプのものだ。
それらはその構造や素材からして、利にかなったものとも言えない事もない。

逆に、無垢材の板はどうか?板という定義は何かわからないが、厚みは薄くて表と裏の表面積が大きくなればなる程板状になっていくとすれば、その表と裏の環境(湿度や温度等)の差に影響を受けやすくなる。板を箱状に組んでしまえば、収縮方向さえ意識した構造ならば問題ない。が、扉となれば枠の中にはめ込んだ框組み扉が妥当といえよう。
デザインからすれば、枠にしたくない場合もあって当たり前である。
今回チャレンジしている反らない(反りにくい)無垢材の板扉。
いくつかの方法がある中で、それさえも品よく収まるという方法なだけに、期待は大きい。



3/1 雨
外の木塀が雨に濡れ、しっとりと深い色合いになる。塀をバックに植えたソヨゴやモミジもコントラストを増し、なんとも静かな気持になる。
雨の影響で工房内も多少変化がある。木材が香りを放つ。加工中のクルミのキッチン扉などが、あまい香りを出す。
ナラ材は、バニラのような香りだ。

1日の仕事を終え、機械をいつも以上に油拭きする。大切な機械だ。順番に揃えてきた大切な道具だ。
先日購入した新しいキワカンナも椿油で手入れする。使いながらだんだん僕に馴染んで、僕の道具になっていく。白柏のキワカンナは使っていくと光沢のある濃い色合いに変化し、日頃の油拭きによって油台になり、雨などの湿気にも影響されにくくなっていく訳だ。
加工中の板材は、特に雨による湿気の影響を受けやすい。仕事が終われば、「反るなよ〜」って思いながら養生して保管する。
しっとりとした日であった。


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