hwb work diary 2003.1


1/31 納品
去年の暮れに製作し、下塗りのオイルを塗り終えた状態でしばらく保管してあった。一昨日、上塗りのワックスを施した。
1ヶ月程の間で見慣れ馴染んだこの家具達とも、今日でおさらばという事だ。
で、納品日の今日、早朝に眠い目をこすりながら撮影。

現場は本山だ。来月中頃にオープンする予定のカフェである。
このカフェのオーナーと協力しデザインをしているのは横井さん。
店内の仕上げはチョークの粉を調合したオランダのペンキ。見事な質感である。
素材感にこだわりを感じ、ホクホク幸せな気分になって工房に帰った。
さあ、メープルの無垢板の加工だ。
ホクホク気分で、仕事に精がでる。



1/24 プレゼント
今月はハードメープルばかり触っていたので、ブラックウォールナットが新鮮に感じる。
今月中に製作を頼まれている家具がある。今度、本山にカフェができる。そこのカフェからオーダーを頂いていたのが、ナラ材の四角いテーブル5台と丸いテーブル2台である。年末年始にほとんどの加工は終わっていた。納期まで余裕があったため、天板は積んで安定させて保管してある。納品日も迫ってきたので、そろそろ組み立てに入る予定だ。

その他に今月中の納期の家具がある。別のお客さんからの注文だ。ブラックウォールナットの座椅子2脚である。注文をくれた本人が使う訳ではない。
実はこの注文を頂いた時、すでに1月2月のスケジュールは余裕がなかった。が、話しを聞けば、友人の結婚のお祝という事なので、何とかしてあげたくなるのは当たり前。その前に、贈り物に家具をオーダーしようと思ったあなたに感動。

少しそれるが、最近ガツンときた話しがあった。それは、建築家の宇野さんと打ち合わせ中に宇野さんが言った「物は心の受渡し」という言葉であった。同じ材料同じサイズの2つの物があったとしても、思いが入った物は違うという事。思いっていうと重いけど?単純に、作る過程で職人なら職人が自分の最大限のプライドのある仕事をした物は、完成度も違うと思うんだな。すごく微妙な事かもしれないが、パシッとできてる物と、何かごまかしてあるように感じる物の差は、その辺にあると僕は思う。
例えば、「何でもいい適当にやってちょうだい、」って言われると力も抜ける。適当になんてできないよ。ふ〜んって感じだ。
でもそれが「誤差なく完璧に」何て求められれば、力もでる。
物を作る側の意識の問題である以上、心の受渡しなのだ。
宇野さんは現場で、「プライドを持て〜プライドを持て〜」と無言に訴えているらしい。僕は現場でその姿を見たら、体から何か出てそうで笑っちゃいそうだ。

以前お客さんが、「みやじまさんが作った物は何か違うんだよなあ」って言ってくれて、すごくうれしかった事があった。
でしょっ!何か違うでしょ!って。求めてくれるあなたと求められる僕の相互の意識から始り、プライドのある物作りができたおかげでしょう。
鍛えられた鋼のカンナはひと味違うという。もちろん値段も高い。本当にそこまで良いのかどうかは別として、それをコツコツ貯めでも買った僕自信の思いが違うから、使用感も違って当たり前なのである。そして使うだびに、プライドが生まれ浸透していくのだ。



1/23 キッチン
去年から打ち合わせを重ねて来たキッチンの設計が最終的な形になった。アイランドタイプのキッチンである。設備的には食器洗浄機、IHクッキングヒーター、ガスコンロ、1メーターのワイドシンク、レンジフード等である。4メーターのアイランドキッチンは1メーターの奥行きのあるステンレスのワークトップだ。シンクと対面する側はカウンターとして活用できるように、ハイチェアも。
ワークトップはシンクから全て一体成形で製作するため水もれ心配なし。
ステンレスに、白の扉そしてウォールナットの腰壁やエンドパネルを、機能的に配置し使いやすく楽しいキッチンにできればと思っている。キッチン本体はそのままリビングテーブルにつながっている。リビングテーブルはウォールナット2400mmの6人使用。
使用する椅子は座面がクッションタイプで、ウォールナットのアームの付いたものだ。
僕らのこれからのキッチンは機能もデザインもリビングのようにインテリアとしての視点も必要だと感じる。
前にも書いたかもしれないが、僕はキッチンという空間が好きだ。活動的な空間として考えているので、他目的に活用したいのだ。
楽しいキッチンは、僕らの生活をより楽しくしてくれそうだ。



1/19 雨降りそしてオーロラだった。
小雨の降る中、豊田市美術館までお出かけ。最終日という事もあってか混んでいた。
結局今日まで行けずに過ぎてしまい、滑り込んでみた。
知っているアールトの家具もアールトの建築を通して見るとまた印象もかわる。というか、それで成立して感じれた訳だ。
もっというなら、その建物も周りの環境(風景)に溶け込んでいる訳。
あんなに広大な土地があるならば、そうしたいなあ。
僕は木が好きだから、内外装に使用している木の種類、使い方に目が行く。赤いレンガや白い壁、木の壁に天井。程よいバランスで木が使用されていくその建築に、フィンランドの風土を感じずにはいられなかった。
フィンランドバーチなんかを使用しているんだろうか?内装にはパインなんか使ってるのかなあ?外部の建具なんかは何で作ってるのかなあ?アールトに聞いてみたいね。「やっぱりフィンランドの材木を使ってるんですか?」ってね。
もし、アールトが日本人だったらどんな家を作るんだろうなあ?


1/17 
家具に携わりもうすぐ10年になる。あっという間だ。友達に「家具のお店を作るから、ちょっと待っていて」って言ったのが昨日の事のようだ。待たせている友達は昨日の事のように思ってくれるのだろうか。
不思議な自信があった。お店の中には1台だけ展示してあればいいと思った。オーク材でできたカップボードが1台、店の中央にあればいいと思っていた。21才の若き僕は何の不安も持っていなかった。
あれから10年分の経験をし知恵と技術が身になり、描いていたお店も少しずつ変わっていった。
今年はその描いていたお店がようやく現実のものとなる。描いていたように形にする事はできても、1台だけ展示してあればいいと思えた頃の思いを形にするのはすごく難しい。お店作りもそこに「思い」が入っていなければ、上辺だけの化粧合板になりかねないと感じている。どうしたらいいんだろう、、、。今も模索の日々は続いている。
でもね、これだけは聞いてもらいたい。僕は納得のいく物作りをしていく。これは誰のためでもなく自分自信のため。
身を削ってでも、納得のいく最高の仕事をめざし楽しんでいければ本望である。



1/14 寒い工房で、 
夜、宇野さんが打ち合わせに来た。宇野さんは建築家だ。今製作しているハードメープルは宇野さんの現場である。
コンクリート打ち放しに無垢のハードメープルの板を取り付けていく。900幅の2000高程度の板を何十枚も仕込むのだ。
この施工がいかに難しい事かは、無垢材の素材を知れば知る程理解できるであろう。
無垢材は何の偽りもない自然素材である。写真でみれば、それが無垢材か化粧合板か見分けにくい。もっというなら、木目のプリント合板でも見分けにくいだろう。写真で見れば同じ木目の家具でも、実はまったく違うものである。
無垢の木の魅力は、その固まりから出る雰囲気や特性もある。
そしてその特性を活かした作りをしてやらなくてはならないという事もだ。
ノミの刃もかけてしまう程堅い木を素材に選んだからには、それ相応の作り方で丹念に作らなくては、決して家具にはなってくれない。
宇野さんは作り手らしいプライドを持っている。
だから、作り手の心にも響くのであろう。
宇野さんの現場の様子は宇野友明建築事務所→field



1/9 ハードメープル
リビング用に買ってきた植物。
最近はこんな感じなものが心地よい。

多少、手が入ってできたこのウネウネした形と、葉のトゲトゲさが何とも絶妙だ、、、なんて納得しながら購入。
僕には作れないなあ、こんな形は。



1/3 ただいま
毎年恒例の餅つき。杵と臼と餅。餅はキナコかダイコンオロシかナメタケか。
恒例のこの行事は12年目か?学生の頃からの仲間達と毎年恒例の行事として続いているんだよ。
みんなの顔を見れれば安心でき、そしてまたがんばろうと思えるのだ。
楽しい正月だった。
明日は植物でも買いに出かけようと思う。こんな気分になれるのはきっと満たされたからだと思う。
さーあ、がんばるぞ。



2003年 元旦
明けましておめでとう。
天気のいい元旦だ。
今年もいい1年になるよう、今日の1日を大事にしていきたい。

さあ、年は明けた。
気分新たにholly wood buddy furnitureとともに飛躍していこう。


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