hwb work diary 2002.6


6/27 梅雨
梅雨の時季は、木にとっては嫌な頃だろう。よく、木には調湿効果があり、室内の湿気を吸ってくれ、また晴れた日に放湿をし、室内環境を快適にしてくれるという。みごとにそうである。
使っているカンナなどの道具も、湿気に影響される。道具などは椿油で油付けにした、油台(カンナの木部の事を台という)や、日頃のメンテナンスでの油拭きなどで、多少の湿気では台が狂わないようにはしてある。じゃあ、製作途中の木はどうかといえば、もちろん木の導管がむき出しの状態な訳だから、湿気の影響は直である。
板を数枚重ねて置いてあれば、一番上の段は空気中にさらされるので、反り繰りかえる。で、ひっくり返して置くと、早い時で15分程で戻り、今度は逆反りしていく。加工していく段階で、乾燥状態から裏表のバランスをみながら、削っているので、裏表の環境が同じならば、よっぽど反りにくい。
家具の場合は、板は箱となり、互いの板がこたえてくれる。
だが、ドビラなどの、中ぶらりんになるものは、それなりの構造にしてやらないと、必ず反る。柾目でも反る。
だから、トビラはフラッシュ構造にするか、しっかりとした框組構造にするのだ。

でも、木だから、反るのはあたりまえの事なんだよ。木+反=板。それを、いかに最小限にするかが、僕らの知恵のみせどころという事で。それでも、そったら自然素材だからと感謝しつつね、、、それは御愛嬌。
でも、湿気を吸った木は反りだし、湿気を出せばもとに戻るように、作ってあるかが、ポイントで、乾燥しきってない木で作られていると、木の乾燥によって反り出す。これは湿気によるものと違い、木の自体の水分の問題。反りながら安定していっているという事で、反りが戻る事はないでしょう。



4/24 接合
easy chair(安楽椅子)をひたすら製作。タモ材だから比較的加工はしやすく、さくさくと思うようにいく。
組み手の加工を必ず、今日中に終了したく、テキパキと。

予定どうり加工もすすみ、明日からは大まかなディティールを出していく加工に入る。
治具を作り、加工効率を上げる。

明日の段取りをし、今日の加工を終了とする。



4/20 納品
納品終了。テーブルの裏にサインをさせて頂きました。
納品したてのテーブルでお茶を頂き、ありがたいかぎり。

また、このテーブルに再会出来る事を楽しみにしています。



4/13 綺麗だねえ
ハードメープルは綺麗だ。やっぱり綺麗だ。白木の中では、イタヤカエデとともに一番好き。個人的な感覚だけどね。

今、中国が景気いいでしょ。ハードメープルやら、チェリーやらのアメリカ産の材料は、そちらに流れていっているらしい。日本立場弱いという事で、ますますハードメープルなどの材料は値上がりしているという状況である。

そんな事もあり、貴重なハードメープルのこの大きなテーブルを眺めていると、思わずため息さえ出てしまう。
お客さんがこういった仕事をさせてくれているのだ、そんな事を改めて木をみて感じた。



4/12 ウレタン
塗装が施されたデスクだ。ポリウレタンの半艶。
2液タイプのもので、塗装膜が硬化するのが、ラッカーなどにくらべると遅い。肉圧が付くので、ウレタン塗装ならではの仕上がりになる。
オイルフィニッシュ塗装で仕上げる事が多いのだが、今回のこのデザインと、目的を考えれば、ウレタン塗装で仕上げるのが妥当といえる。

ただ、塗装の行程も普通ではなく、単純にカラーを吹き付けるだけでは、無垢材の綺麗な木目と質感がでないので、というか、より透明感があり無垢材を活かすためには、それ相応の塗装の仕方がある。
やはり、そういう綺麗な塗装は昔からある技術のものが多い。

H.W.Bのオイルフィニッシュは、自然の油塗料を使用している。
元祖オイルフィニッシュという塗装はコールタールを重クロム酸と軽油でとかしたものを木に浸透させ、その上にラックニスやら何がしの塗装膜を作り、独特の油染みた仕上げを施す。これが、元来のオイルフィニッシングというものらしい。が、そういった危険な溶剤を使用した塗装は、オーガな時代を考えていけば、消えていってしまう技法なのかもしれない。
塗装は一長一短である。
使用目的を考え、そして素材を活かせるようなものが理想。
どんな最先端の塗装が開発されても、伝統的な塗装技法の漆にかなわないという事を聞いた。う〜ん、すごい話だ。



3/13 胃腸かぜ
エビスのholly wood buddyの展示スペースに、思ったより足を運んでくれる人が多く驚いている。
ホームページを見てくれていた人も多く、実物を見たいと来てくれるのであろう。
 
長者町エビスビルのhwb家具の展示は12月20日にて終了しました。
 エビスに足を運んで下さった方々、ありがとうございました。


来月から、守山のお店+工房の方の改装に入る。ある程度の広いスペースなので、改装のしがいもある。慌てる事はないけど、工房の方だけはストップさせたくないのだ。機械の移動のため、数日動かせなくなってしまうが。お店の方は新作、定番ともに全て新たに作る予定だ。だから、お店としてちゃんと商品が並ぶ頃はまだ先の話しではあるけどね。
工房も広くなる。今の工房は14坪しかなく、数台のキャスターの付いた機械を移動させながら、家具を作っている。
狭いながらのやり方で、工夫してきたが、工房が広くなる事によってその経験を活かせれば、かなりのよい環境が整えれると思う。
今まで出会った人に感謝している。14坪の狭い工房に来て、びっくりした人は多い。作業机でお茶を飲みながら、僕はお客さんにありのままの自分と、僕らの夢を話してきた。狭かったけど、密度は濃かった。こういう部分は、ずっとなくしたくない。

そうそう、実は移転後、最初にする仕事はもう決めているんだ。バーズアイメープルのテーブル。大事なテーブルである。
お客さんから材料が郵送されてきたバーズアイ。貴重な木であるし、加工も難しいからこそ、最初の仕事にしたいのだ。

さあ、それでは今の工房での最後の仕事を進めるとしますか。がんばるぞ。



6/22 学習机
チェストとテーブルも完成し、ソファの布張りのみとなり、木部の加工としては終了した。
で、今日から製作にかかっている家具は学習机セット2つとベットである。バーチの学習机は天板は無垢材で下部の収納本体は合板でコストダウンを。同じ材質で壁面の収納棚も。部屋に合わせたサイズでのオーダーという事で、現場採寸済み。
それから、クルミ材で製作するのは、右側に引き出し収納のある学習机とファブリックで包んだ座、背のクッションタイプの椅子、そして机の上には本棚。引き出しの収納サイズは希望に合わせた注文サイズ。クルミ材の天板に使う材料は既に材料を仕入れる段階で選んでいる。
それに、バーチ材で製作するのは2段式のベット。といっても下段は既存のチェストを収納されるという事でオープンになっている。チェストのサイズも採寸済み。規格サイズのマットが入る木製ベットという事である。
それぞれ、デザインは違うが、板状の構造が多く、まとめて効率よくね。
僕は、家具の中でこういった学習机やパソコン机などの作業用のデスクはかなり好きである。
書斎的な憧れも入っての事だろうが、何かしらのやる気を感じる作業机達、、、好きだなあ。
もっといえば、その部屋には窓があって、作業の合間に窓から海なんか見えれば最高である。そんな部屋での勉強ならば、ストレスは感じないだろうなあ。
僕らは家具を「生活道具」と言ってきた。そりゃそうだ。だけどホントは、その先に、その奥に、生活を楽しむための道具にしていきたいという信念があるんだなあ。いや、ホント。
何気ない毎日を楽しめるとするなら、素敵な事だろうねえ。



6/14 チェスト
チェストとテーブルとソファを製作している。3点セットという事で、一人のお客さんからのオーダーである。
チェストもオリジナルとして定番のデザインはあるが、少し変更を加え、よりお客さんの希望にそえるようがんばっている。
そういう、オーダーの仕事をしていく間に、オリジナルが完成されていくような気さえする。リデザイン。
これが、リデザインの手段のひとつだと強く感じる。
材料の選択もそうである。このチェストはナラが似合う。この脚のタイプはタモが似合う。その使用目的に応じた天板はこれだ、、。
とかね。木材は、同じ種類のものでも、育った環境によって表情が違う。さらに同じ、丸太でも木取りの違いで、板目にも柾目にもなる。見た目が悪いと思っていた部分が、仕上げていくにしたがってものすごい表情のある木目である事に気付いたり。
そんな、いろんな表情のある木を、適した部分に使用していく事が、木に携わる人の責任だと感じる。
板の組み合わせ方が悪いと、違和感がでる。そこを自然に、当たり前のように組み合わせていく事は、決まりがないだけに難しい。
経験とセンスしだい。


6/11 通常の
カフェの仕事が一段落したので、通常の仕事に復帰した。
既にオーダーを頂いている家具の製作に取りかかる事とした。
材料が決まっている家具については、在庫がきれている木材を仕入れる。
図面をみて、今月スケジュールを組み立てる。
お子さんが入学し、長く使える家具をということで、オーダーを頂いている。
が、入学といえば、4月。既に6月。もちろん、この事は了承頂いたものの、その子の事を考えると、優先して作ってあげたい気持がある。そういった思いを仕事に繁栄させていきたい。
だって、僕らは人ですもんね。人間くさい部分を大事にしてけたら、物作りはきっと楽しくなると感じてやまない。
お金を稼ぐために家具屋をやっている訳ではない。もちろん、仕事として認識しているが、たまらなく家具が好きで作るのも好きで、人間くささ好きだからこそ、それを最大限活かして生活をしていきたいのだ。さらに、趣味ではなく仕事だからこそ、本気で取り組める。
今度、オープンする守山のお店+工房に来てもらえれば、それは必ず分かってもらえると思う。



6/7 工場にて
しばらくぶりに落ち着いて工場で家具を作っているといったところか。長者町の仕事であるため、至急なのである。それでも、明け方近くまで現場にいた先週の事を思えば、ゆとりさえ感じる。
しかし、急いでやった後の道具は手直し必要だ。かんなの刃は、使用中に刃こぼれし、緊急という事で2段研ぎにて刃をつけた状態だ。いつもの、冷静なペースにもどすまでには時間がかかりそうである。
慌てれば、その分時間は短縮できるが、長続きはしない。後にいろんなツケがまわるし、毎日くり返される仕事としては、タンタンとリズムにのって進めていく事が、何より大切な事と感じる。今日も明日も使う道具、綺麗に保ち続ける事。
3日限定の仕事ならば、3日だけしのげればよいかもしれないが、生涯、家具を作り続けたい僕らとしては、今だけをみてはならないと思うのであった。
もちろん、仕事として引き受けたからには、「どうしてもやらなくてはならぬ」って時もあるもんね、ただ、その後はツケがマワルって事。
そんな事を思いながら、ナラ材の椅子を6脚組み上げ、クッションの張りに備えるのであった。
夕方、おいしいパンをMさんが持ってきてくれた。営業で近所にくると、いつもそうしてくれる。
「いつも、ありがとうございます」と僕、「いえいえ、趣味ですから」とMさん。
美味しいんだなこのパン。オーガニックな素材で作られたそのパン、そういう意識が働く事もあるのか、味わい深いものがあるのだ。なんか真剣に勝負してるって感じで好きだなあ。



6/6 長者町エビスビル
長者町の地元の堀田さんという方がいる。僕らの心を最終的に動かしてくれたのはこの人であった。H.W.Bのショップ探しを数年かけて動いていた中で感じた事は、名古屋の地域独特な町のあり方であった。大きな資本の企業が立ち並び、道路が広いこの町では移動の手段として車が使われる事が、他の町より多い事も明かとなっている。もっと、気軽に散歩しながら、地元の人とあいさつしながら、疲れたら、休みながら、そして、活気を感じながら、、、。僕らは名古屋にこだわっている訳ではなく、ただ、ただ地元だから、単純にこの町が好きだ。
そんな思いを共感できたからこそ、長者町のプロジェクトに参加を決めたのである。できれば、工房ごと長者町に移転したいところだが、家具作りの環境(工房)を重要視し、できるだけ広く作業のしやすい場所を考えると、名古屋市内でも中心部でない地域に基盤を整えていく方が、holly wood buddy としてあるべき姿なのではないか、と考えた。工房+shopは9月守山区にオープンさせるとして、長者町の2階 HWBスペースの有るべき姿も考えなくてはならなかった。
2FのHWBスペースは期間限定ではあるが、共感できる人達に出会えればうれしい。
守山区に工房+Shopをオープンさせるためにも何かのきっかけになってくれれよりうれしい。
このエビス、HWBスペースは、過去に製作した今までのHWBの商品や今回のカフェ「Shindo」の為に製作したeazy chairなどをディスプレーしている。
そうそう、隣の植物屋さんと一緒に、石積み+ブラックウォールナット天板のカフェカウンターをお互いの店の間に作った。いい感じのカウンターである。


長者町エビスビルのhwb家具の展示は12月20日にて終了しました。
エビスに足を運んで下さった方々、ありがとうございました。


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