hwb work diary 2002.4


4/28 安楽椅子
1タイプの椅子は完成。安楽姿勢をためしたいので、出来上がった椅子にウレタンの高さのものを座面にのせ、座ってみる。よしよし。木部は出来上がったので、とりあえず次の椅子に取りかかっている。

2人がかりでの製作である。木取り、木作り、ほぞ穴、ほぞと加工をすすめる。
この椅子はデザインを決めかねている部分がある。無難にいくか、チャレンジするか、、。
こうした方がバランスはよいのだが、はたして、バランスがいいものがいいデザインなのだろうか?
完成されてないアンバランスもいいよなあ。
最近、自分達が作る家具について思う事がある。
いきつくとこは、最終的にその物自体がいかによいか、である。
やっぱ、本当に納得できるものを、いいものを作りたい。その努力をしてみようと思う。
別に、今いいかげんな物を作っているとは思わないけど、もっとがんばってみたい。
大企業でなくてもできるはず。難しい行程のいるデザインも、それをスムーズにする方法はあるはず。
人の力は限界があって機械を頼らなくてはいけない部分も、もちろんある。
でも、人の可能性は決まってないと思う。やればできるかもしれないしね。
図面どうり、綺麗に完璧に作る事はできる。自分達の技術範囲でなら。そうじゃなくて、その上を超えたい。
そのデザインを妥協なく作る方法を発見していく努力をしてみよう。
僕らは物の作り手なんだから、物作りで認められたいという気持はあるし、認めてくれればうれしいだろう。
でも、まず自分自信が納得できた物を作れたかどうかである。それが、商品だろうが作品だろうが物は物である。
物を作る僕らは、自分自信がほれ込める程の物を生み出したい。追求し続けたい。
毎日の仕事の中で、納得してるんだけど、納得できてないっていう妙な気分で、、、、。
あんまり、安易な事はいやだなあ。上手く言えないけど、もっとがんばっていこうと思った。



4/24 接合
easy chair(安楽椅子)をひたすら製作。タモ材だから比較的加工はしやすく、さくさくと思うようにいく。
組み手の加工を必ず、今日中に終了したく、テキパキと。

予定どうり加工もすすみ、明日からは大まかなディティールを出していく加工に入る。
治具を作り、加工効率を上げる。

明日の段取りをし、今日の加工を終了とする。



4/20 納品
納品終了。テーブルの裏にサインをさせて頂きました。
納品したてのテーブルでお茶を頂き、ありがたいかぎり。

また、このテーブルに再会出来る事を楽しみにしています。



4/13 綺麗だねえ
ハードメープルは綺麗だ。やっぱり綺麗だ。白木の中では、イタヤカエデとともに一番好き。個人的な感覚だけどね。

今、中国が景気いいでしょ。ハードメープルやら、チェリーやらのアメリカ産の材料は、そちらに流れていっているらしい。日本立場弱いという事で、ますますハードメープルなどの材料は値上がりしているという状況である。

そんな事もあり、貴重なハードメープルのこの大きなテーブルを眺めていると、思わずため息さえ出てしまう。
お客さんがこういった仕事をさせてくれているのだ、そんな事を改めて木をみて感じた。



4/12 ウレタン
塗装が施されたデスクだ。ポリウレタンの半艶。
2液タイプのもので、塗装膜が硬化するのが、ラッカーなどにくらべると遅い。肉圧が付くので、ウレタン塗装ならではの仕上がりになる。
オイルフィニッシュ塗装で仕上げる事が多いのだが、今回のこのデザインと、目的を考えれば、ウレタン塗装で仕上げるのが妥当といえる。

ただ、塗装の行程も普通ではなく、単純にカラーを吹き付けるだけでは、無垢材の綺麗な木目と質感がでないので、というか、より透明感があり無垢材を活かすためには、それ相応の塗装の仕方がある。
やはり、そういう綺麗な塗装は昔からある技術のものが多い。

H.W.Bのオイルフィニッシュは、自然の油塗料を使用している。
元祖オイルフィニッシュという塗装はコールタールを重クロム酸と軽油でとかしたものを木に浸透させ、その上にラックニスやら何がしの塗装膜を作り、独特の油染みた仕上げを施す。これが、元来のオイルフィニッシングというものらしい。が、そういった危険な溶剤を使用した塗装は、オーガな時代を考えていけば、消えていってしまう技法なのかもしれない。
塗装は一長一短である。
使用目的を考え、そして素材を活かせるようなものが理想。
どんな最先端の塗装が開発されても、伝統的な塗装技法の漆にかなわないという事を聞いた。う〜ん、すごい話だ。



3/13 胃腸かぜ
2月にキッチンを作らせてもらったお宅へ、ダイニングテーブルと椅子を納品。メンテナンスの仕方も兼ねて、キッチンの天板にワックスを施す。

「イイにおい〜」と小学1年生の子。「レモンのにおいでしょ」と男の子。微妙に違う。「オレンジのにおいしない?」って僕。とそんな事を話ながら、クルミの木にワックスしていた。

下の画像
ガスコンロの右下の収納はキャスターの付いた移動できるワゴン。内部には電子レンジなどの器具が収納されている。
奥さんが、こんな物をこんな風に収納したいと希望。
それをできる限り現実の生活道具としての機能を備えたキッチンへ。
機能プラス見た目のよさはいいね。
そうダイニングテーブルには引き出しが隠されている。パッと見解らないけどね。

木の持つ特性を考え、それをどう家具にデザインしていくか、、、本当に奥が深い話である。



4/10 技術は知恵から
ハードメープルのテーブルを製作している。まずは、天板から加工に入る。理由は簡単。大きな面積を必要とするし、木目の綺麗な部分をなるべく使おうとすれば、まず、優先して木取りをする。そんで細かいパーツは天板の木取りで除かれた部分などで進めていく。これはhwbでは基本中の基本。大きいパーツは大きい材料から。
今回のダイニングテーブルは厚み40mm程度の仕上げ、これぐらいになると無垢材の贅沢さが十分感じれる。板でなく固まりとなってメープルの綺麗で繊細な存在を感じる事ができるであろう。

材料は54mm厚の板で長さ2300mm。天板の長さは1900mmなので、1910mmで木取る。人工乾燥までさせてあるもどし材なので、十分に乾燥している。乾燥させていく過程で、どうしても端から20mm〜100mm程は割れが入っている。
板といっても平ではない、材料としての厚み54mm。それを手押しカンナ盤という機械で平らに削っていく。厳密にいうと、板は削れば少し狂って反る。だから、削りながら反りをみながら、時には反らせながらである。使用している手押しカンナ盤の最大加工幅サイズは300mmだ。1900mm×870mmの天板は、素材の材料と相談し、機械で加工できる範囲で数枚の板を接ぎ合わせて1枚の大きな天板にしていく。逆に、厚み30mmで600mm程度の幅の板を1枚で作ろうとすると必ず反る。しかもかなりの力で反りかえる。丸太のどまん中の唯一全部柾目材なら可能かもしれないが。
そういった予測をしながらの木取り、平らだし。この作業の仕方が無垢家具の最大の「ならでは」の部分だ。
奥の深い深い話であるのでこの辺で。
 機械で平らになった板を大きな1枚の板に接ぎ合わせ、1晩しっかりと乾燥させる。
そうすると、機械によって12mm程度大きく削られた板1枚1枚が、裏表のバランスが崩れたせいで、少し反りだす。
もちろん、それも計算にいれての事。
今度は、手カンナに道具を変え、その微妙な反りや狂いを削り、平らな天板にしていくのである。



4/8 シンプルなデスク
厚みが40mmの板状のパネルで構成されているデザインだ。パソコンデスクである。クルミの無垢材で作っている。グレーで着色し、ウレタンで塗装を施す。クルミの綺麗な木目もある程度透けさせたいので、塗装の方法は、複雑である。
デザイン上、天板と両サイドのパネル状の脚のみで、他の部材はできれば入れたくない。40mmの厚みがあるので、よっぽどしっかりとした物にはなる。
天板と脚を組み立て、一晩、ハタガネで圧着固定し、のりを乾燥させる。
連結される部分には、40mmの厚みがあるので、普段の二重のサネをいれ、(強度的には2倍以上になるが)しっかりとした組み手にした。なんせ、この部分で家具の強度が決まるからだ。


4/5 次は
クルミの椅子が完成し、ワックスで仕上げた。そんで、次の仕事に取りかかっている。
パソコンテーブルである。と、いってもパソコンっていうデザインではない。お客さんからある程度の希望を頂いたのでそれにそって製作している。1800mmの天板に両側はパネル。ミニマルなデザインであるね。黒に近いグレーの木目の透けた塗装で仕上げる。うん、このデザインによく合っていると思う。メールで注文を頂いたので、塗装サンプルを送らせてもらい、選んでもらった。
精一杯、綺麗な仕事をさせて頂きます。楽しみにしていて下さい。



4/4 納品
ベット、とチェストを納品に行く。マンションの8階で、エレベーターでは搬入できず、階段で。メープル材なので、重い。
途中、6階で休憩。そんな納品だった。お客さんは、かなり満足してくれ、ありがたい。
チェストも同じ色で塗装をしてあり、部屋にバランスよく収まった。
ダイニングテーブルを買う予定のものから、変更してオーダーしてくれるそうで。
納めた家具をみて、追加というのは、素直にうれしく思う。

納品前に時間をつくり、市美術館へいってきた。
カルダー展だ。そうそう、市美のエントランスにある作品の人(コールダーとなっているが)のだ。カルダーっていえばモビール。
僕は、モビールも好きだが、動かない作品も好き。平の鉄板の溶接の具合や、カットの仕上げが好き。
色付けの仕上げの適当さかげんも魅力的。全体的に人間の大きさぐらいの作品が多かったけど、アクリルケースの中に展示されている小さいのもあった。それから、写真でしか見れなかったが、かなり大きなスケールのものもあった。小さいのも大きいのもそうだが、普通じゃないところが魅力的。うちわで風をおこし、モビールを動かしてくれるお姉さんの存在が気になった。それと、美術館とかでない普通の空間で見てみたい気がした。ああいう展示会場は綺麗すぎて、、、。名古屋市美術館は好きだけどね。だって、公園と隣接しているし、並木も気持がよい。

納品後、どうしても見たいものがあり、大須へ行く。新型のiMac。やっと現物を見る事が出来た。パソコンがもう1台必要になる予定なので、新型のiMacを検討しているのだ。デザイン的に「あんまり好きじゃなーい、前のがいいー」なんて言ったものの、実際みると魅力的だ。アーム部のデザインは気になるが、中身がよいし、液晶はスッキリ!あーだこーだと、いじくりまわした。
でも、パソコンの寿命というか、消却期間は短いねえ。そのてん、家具はえらい。パソコン用のテーブルはパソコン用として、ずっと使っていけるんだから。
そんな事も思いながら、数件のパソコンショップで同じような行動をとり、決めた。新iMacにしよう。



4/2 クルミの椅子
クルミの椅子を製作している。椅子2脚と、ベンチ、1台。同じクルミ。



4/1 格子
格子の棚も完成した。
昨日、浜松の方からお客さんみえた。お店の衣装棚になるそうで、楽しみである。

で、今日からは、ダイニング用の椅子2脚とベンチを製作している。
クルミのテーブルは既に完成しているので、同じクルミからの木取りをしている。
春らしい天気だから、気持がよい。
途中、ネコがすたすたと工場の中に入って来た。「普通、人がいたら入ってこんでしょ。あんた変わってんねえ」
まっ、春という事で。



4月です。花は咲き、holly wood buddy は4年目を迎える事となりました。普段何気なく使っている
木の年輪を真剣に数えて見ました。何十年、何百年という時間を感じます。どんだけがんばっても
時間だけは一秒ずつしか進まないんですね。「すげえなあ木って」ってベタな事を感じております。
さあ、がんばりますか。そして、1年1年、顔にしわを増やしながら、家具作りに励んでみますか。


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