hwb work diary
2005/9

back


9/30 

午前中に、作りかけのナラ材のキッチン用抽き出しを作り上げる。つもりであった。
朝、メールの返信を終え、9時。次は金物発注。の金物発注に1時間近くかかる。岡崎のお宅の家具用の金物を全てまとめて発注するためだ。家具が数台となると金物の種類も料も多くなる。
結局、11時ぐらいから抽き出しを触り出した。ナラ材なので、気分は良く作業はできる。最後のワックス(オイルは4日ぐらい前に塗ってある)を塗る。4日以上経過しているんでドライサンディングができる。スムーズに奇麗にいく。
午後ほんわか時間、納品を控えお店で待機しているスギ材家具のオーナーと設計士のクヅヤさんが、出来上った家具を見に訪れる。僕も予想していたが、やっぱり「いいもん」ができた。
何がいいって言うと、スギ材の持ち味と家具の存在が合ってるところである。
クヅヤさんもオーナー御夫婦も、大満足。もちろん、きちんと作っているんで自信はあったけど、満足笑みは正直うれしい。と、同時に作り手として、謙虚にもなれる瞬間である。

明日は、朝から納品がある(スギの家具ではなくて楕円テーブル)。久しぶりにお客さんに再会だ。




9/29 

これ、2500mmの玄関ドアの製作中。今回はナラ材の柾目。ナラ柾限定で材料を仕入れた。ためいきが出る程安心する。
現場は岡崎市である。今、建設中の新築のお宅である。
岡崎といえば、ケイコの実家で、現場仕事の後にケイコ達に合いにいけるので、うれしい。
岡崎市というと何故だかイメージが良い。
名古屋育ちの僕としては、三河地方の方言や独特のおおらかさに憧れさえ抱く。
建設を担当している工務店の監督も、そんなイメージがある。こちらの指事にも、対応は早く、やっぱり三河地方は好きである。
今日は、先行して木枠のみ現場に搬入した。現場では、僕らのような無垢材フルオーダー家具を作っている存在はまだまだめずらしく、とかくその段取りと説明は苦労していた。少なくとも5年前はそうであった。でも最近は、住宅環境も住み手の価値観も多様化し、僕らのような物作りを必然的に受け入れてくえるような家作りになってきたのかなあ、とうれしくも思う。




9/28  おかえり

今日、ケイコが退院してきた。別に1週間しか経過していないのに、ものすごく懐かしいみたいであった。「あ〜やっぱり、お店はいい〜」っとホッとしていた。
産まれたての娘は、お店の事をどう思ったんだろう?僕らとしては、ここが居場所であってここで毎日を過ごして行く事に何の疑問も感じていない、それどころか今のそのありのままの素直な状況が、良くも悪くも全てにおいて納得していられる。だから、地に足がついているような気がする。

僕は、工房に入りその空気を吸う。そしてやる気が満ちあふれてくるその瞬間が大好きである。
そして、物作りに没頭し励む、そんな日常が好きである。
そこが、僕の居場所なんだろう。
ケイコの居場所はお店である。もちろん、僕にもケイコにも、この工房とお店は仕事をする環境である事は確かである。でも単に仕事場としての環境に留まらないという事なんだろう。
それが、カツキ、ソウタ、タスクにとってもそうであると信じている。自分達が今を生きている場なんだと、飛躍する訳でなく、自然にそう思わせてくれる環境であってくれれば、僕は幸せである。
短い、ひとときの帰省であったが、そんな事を僕に思わせてくれた。
午後、ケイコ達を、実家まで送る。
短い、40分くらいのドライブであったが、緊張した。
先日、おじいさんの車椅子を押すときも感じた、あの感覚を思い出した。




9/26 

一昨日、昨日と、お店番をしていたので、その間に来てくれたお客さんには、思わずそんな事を話してしまった。
巻込みだ。
東京から椅子を一脚引き取りに来てくれたお客さんは、今度、家具屋をオープンされるそうで、ナラ材で作った01チェアを、そんな話し付きで受け取ってくれた。思いでに残る01チェアだ。
今日は月曜日。休みなので、合いに行く。
途中、仕事の連絡がいろいろと携帯に入る。こんな日になんて思わない。
「おれ、家具屋だもん、こうでなくっちゃ。」
それでも、子供のために優先する。
海綿なんぞを買いに、赤ちゃんデパートに行く。
偶然にも、間もなく納品予定のお客さん、カフェのオーナー夫婦に合う。オーナー夫婦は1ヵ月程前に子供が産まれ、心強い存在であった。もうすぐオープンのお店だ。
僕は思った。「どんな事があっても、家具屋の娘という事になるんだ」娘が、いづれ意識するようになった時、その事に誇りを持てるように、僕は家具作りに真剣になろうと思う。




9/23
結局、母体と赤ちゃんのために促進剤を使う事となった。とうか昨日からその段取りをふんでいたんだけど。
たぶん、ケイコは不本意だったんだろうな。でも、大丈夫さ。
夕方、産婦人科で付き添ってくれている母から連絡が入る。ケイコを産んだ母だから、一番心強い。
「今、陣痛の感覚が狭くなってきた、そろそろかもー!」と緊張感漂う現場の音まじりで連絡が。
慌てる僕。とにかくタオルだけ持って、病院へ。このタオルが必要なんだ。ケイコが楽しそうに発注していたオーガニックタオル。
「こいつが必要だ!」
到着すると、聞いた事もないようなケイコのうめき声が聞こえてくる。
その瞬間、泣けた。でもすぐその次の瞬間、ものすごい冷静な自分になった。心が静かになった。
いつもそうだ。そういう時、僕は静かに冷静になる。時間を飛び越える。
僕は「出産に立ち会う」と友達に言っていた。理由はよくわからなかった。
でも、その時わかった。タオルでケイコの顔をふくためだ。鼻に大量に汗をかくケイコの事を知っているのは僕だけで、鼻の汗の事とかは、オレに任せて心置きなく格闘してくれ!
そして、陣痛から3時間、分娩室に入り1時間。
「おっ、お前かー」「そうか、お前だったんだ」やっと姿を見れた。
女の子である。よかったあ。よかった。うんうん。力が抜けた。ここは夢の中なのか、、、。
夢じゃないのか?




9/22
ケイコいよいよ入院。検診にいったら、そのまま入院になってしまった。焦る。破水していたみたいで、正直不安。
破水してしまうと、感染する可能性があるからだ。破水したのに陣痛がこないって言う事は、まだ出てこないって言う事で、、、感染したら「イヤだ!」。僕の不安は大きくなるが、産婦人科の人達は冷静だ。任せるしかない。
頼む。陣痛、来てくれ。
自然な形で産んであげたい。

伝える事があったので、お客さんに電話をする。
いつも気にかけてくれる方で、なんだがホッとした。
「命って、すごいもんで、、、うん、大丈夫」と僕に言ってくれた。
「命」っていう存在を、意識せざるをえない状況の僕に、信じるという事を気付かせてくれた。
思わず泣きそうになる。大丈夫。




9/21 ナラ材の木目

予兆がこないので、仕事をする。というか、やる気満々。納期はまだ余裕があるがナラ材を触っていたかったのだ。

ナラ材のキッチンの続きである。
ナラ材は、作るたびに、良さを再確認させ続けてくれる不思議な存在である。

画像は抽き出しの木柄合わせ中。
僕はこんな目線で見ている。





9/19 定休日

うちの子は段取りよく、お店の定休日に産まれてくれたりして、、、なんて思ったり、期待してみりする。
が、そんな予兆はまったくない。ケイコといっしょに散歩をする。
昼間は避け、夜静かになってからの散歩だ。
お腹のはち切れそうなケイコと、テクテクと散歩道を。満月みながら吠えてみる。「ウオ〜。」
久しぶりに、二人で散歩した。
なんかとてもいい時間であった。




9/18 落ち着かない。

今日は予定日である。そう子供の。予定は予定と言う事だが、こればっかりは予定どうりにはならんだろうと思っている。
今日は、僕は工房で仕事をするのは避け、お店番をする。打ち合わせもあったので、少し気がまぎれた。

夕方から、ソワソワしてきたので、芝をかった。少し気がまぎれた、ような気がした。
今日、満月だし、、。




9/17 アームチェア

アームチェアだ。これが02チェアのアーム付。全体に大きくなっているので、ゆったりした安楽椅子に近い座り具合となった。明日納品である。

その後ろに並んでいるのは、01チェア。これも納品待ちである。




9/16 そわそわ
なんかソワソワしてきた。もうそろそろ、子供が産まれる予定だからだ。
いいんでしょうか、仕事していて、、。最初の子は予定よりおくれる事が多いみたいだし大丈夫だと思ってはいる。そんな予兆はまったく感じられませんし。
そうおす、僕は出産に立ち会うつもり。
立ち会う事にもいろいろと葛藤がありまして、僕なりに立ち会う勇気を持ちまして、、、。電動ドリルでも持って行きたい気分である。
まだ、名前も決まっていないし。呼ぶ練習もしていない。ちなみにお店の名前の電話応対練習は、修行時代からしていた。
家具作りならテキパキと段取りをしてしっかりしていられるのに、「うお〜。何をすればいいんだ?何もできんぞ。」とまるっきりの新人でる。
今の気持ちとしては、無事に産まれてくれれば、、ただそれだけだ。正直、心配だな〜。
あ〜なんかもうすぐなんだなあ。
満月近いし、でてきちゃうんじゃない?

あ〜ドキドキしてきたので、冷静になるために仕事してよ。



9/14 現場にて
来月施工予定の現場に行く。テレビ台やキッチンは現場での組み立てとなるので、いろいろと下準備が必要となるわけだ。
今回はリビングにまでつながるI型の6000mmのキッチンである。カウンターは食器洗い機を装備し、アイランドとなる。現場サイドと関係してくる部分はいろいろあって、そこの責任をきちんと明確にしておかないといけない。それは結果良い家具を作る事になるからでもある。
設備はihクッキングヒーターと食器洗い機である。200Vの電源が必要である。それから、給水、排水、混合水洗、浄水栓、コンセント、照明、、、いろいろ油断できない適確な指事が必要である。
という事で、現場に印をしに行く事にした。ここに配水管、ここに給水菅FLから200mm立ち上げ、ここにih用の200V電源。そんな具合いである。
それから、重要な事をもう一つ。階段からやっぱり搬入できないかどうかを確かめる。ハイエースのキャリアの上から2階の窓へ。そんな予定だからだ。

玄関扉も作らせてもらう。2500mmの高さがあるので、これもいろいろ段取りと工夫をいつものようにする。
僕らのように、無垢材で日常的に家具を作り、毎回注文で製作(オリジナルは違うが)していると、いろいろと勉強になり作れる家具の幅も広くなっていける。ものすごく、手間はかかるので、たいへんである。家具を作る事が好きでなくてはできないし、好きだけでも勤まらない。

今回はナラ材の柾目を中心に使って家具を作らせてもらう。ナラ柾だっ。



9/13 椅子の直し

椅子の直しを頼まれた。
とにかく古い。
忙しいが、世話になっている椅子貼り屋さんからの依頼なので、引受けた。

いったい何年前のものなんでしょう?




9/13 キッチン採寸

先日納品した吊り戸棚と天板と本体。
大工さんの手によって取り付けられたので、今度は引き出しの製作である。よって採寸。
今回も、宇野さんの現場はワクワクする。桐材の曲面壁は、やわらかく包み込んでくれるような感じであった。
「すげ〜」、、、。家具では作れない空間の空気を感じた。




9/10 杉

杉といってもスギさんではない。スギ材だ。スギ材、、、スギ材。んっ?なんか妙な感覚になてきたぞ。スギ材?スギさん材? 
まあ、いーか。とにかく天龍杉である。新月伐採しているそうだ。
画像はタスクがダボのスミツケをしている。

今日は、カウンターを取付けに。僕は打ち合わせが入っていたので、現場には行けない。
タスクとソウタ二人でカウンターを取付けに行った。
ソウタは大分、現場の状況に柔軟に対応できるようになってきたので、任せてみた。

ソウタにも僕と同じように夢がある。もちろん、カツキもタスクもそうである。
ソウタは生まれ育った高知県で将来、家具屋をする。
そういう夢を叶えたいからがんばっている。そういう夢はこれから先もずっと持ち続けれるような気がする。
「フカフカした紅葉樹の落葉の上を歩く」そういう環境で静かにもの作りをしたいね、、と。




9/8 万博
とにかく忙しいっ、、。忙しい時はさらに忙しい状況に追い込まれる事は多い。
そんな時にだが、再び万博に行く事になった。「夕方からならいいよ」と言ったものの忙しい。でも帰ってきてから仕事すればいいし、、って夜中じゃん。
「どうしても行きたい」というおじいちゃんの頼みだ。「よしっ」
障害者手帳を持って、専用駐車場に駐車し、車椅子を借りて、エレベーターで会場に入る。たくさんのボランティアの人達の手を貸してもらい、ありがたい、、、、。
会場は異常な混雑ぶり。そんな中、車椅子を押すのは結構大変だ。

今年の夏はいつも以上に、おじいさんと話す事が多く、戦時中の話や戦後の復興の話しなどたくさん聞かせてもらった。とにかくそんな時代を生きた人の話しだからすごく貴重な話である。
「あっおじいさん、手帳出して、手帳!優先してくれるみたいだから」と僕。
慌てながら、すんごくゆっくりと胸ポケットから出てきたのは、「被爆手帳」だった。それも持ってきていたんかい、、。
あー、なんかありがとう。




9/7 キッチン現場

台風が過ぎて、すっかり晴れるかと思っていたが、へんな天気。
そんな中、いつもの材料屋さんへ。
足りない分のメープル材を仕入れに。
犬山市にある材料屋さん。うちの工房から車で40分ぐらいの所だ。忙しい中では、こういう時間がありがたい。
いろいろ落ち着いて考える事ができる時間である。

もうすぐだなあ、、。




9/4 納品

01と丸テーブルを納品に。緑の多い御近所に、今度ギャラリーをオープンされるそうだ。




9/3 キッチン現場

現場だー。お客さんと勇健工務店の小林さんと悩みに悩んだキッチンだけに、考え深いものがある。

勇健さんの建てる家は、本物の素材を使っているので、気持ちがいい。漆喰や土壁にも自信を持っているだけの事はある。

まあ、どちらにしても僕らと一緒にキッチンや家具を作っていくには、プライドのある人が周りに関係していないとできない。
普通じゃないというか、、、でも僕らにとってはこれが普通。
無垢材を使う事も普通、手間をめんどうだからと言って切り捨てない事も普通。でもまだまだ一般的には、めんどくささばかりに目をやって一生懸命に仕事をしない人は多く、残念である。その効果と手間を天秤にかけ、真剣に考えるべきであるのに。
そういう人とはいっしょに物作りはしたくないと本当に思っている。
勇健さん職人的な物作りにも、共感できるね。
おかげで、沈んでいた気分が勇気に変わってきたみたいだ。




9/2 キッチン

宇野さんが建てている丸い家に設置するキッチンだ。吊り戸棚は先攻して現場に納品した。壁がアールなので固定方法も宇野さんと頭を悩ませた。
現場で原寸型をとってきてあるので、取付けの精度に不安はないものの、ナラ材無垢材は重いのでそれなりのしっかりとした固定が必要である。大きさは3000mmを超える。もちろん一本で作ってある。
一番右の画像は、それの扉を建てて置いてあるところだ。けんどんの引き違い戸である。
無垢材の幅のあるハメ板もなんの事なく作ってはいるが、自分で言うのもなんだが、結構すごい事である。

一番左の画像は、ステンレスが加工が終わり、木フレームと一体になった天板だ。背面がアールなので、端っこはとんがる。奥行きの一番深いところで800mm近くある。ステンレスの背面のアールはレーザー切り落とす。そのアールの部分にステンレス無垢のフラットバーをアールにそって溶接していく。単に溶接するだけでは焦げを磨ききれないので、いろいろと板金屋のおじさんと工夫した。
そして板金屋から戻ってきた天板に再度、木仕事を施す。正面部分を折り曲げず、あえて木を貼っていく。ステンレスを曲げる方がよっぽど簡単である。その正面に木を貼る事は、板金側からも本当は不可能と言われる事である。でも、僕達ならできる。「普通、できんよなこんな事」って言いながらカツキと木を貼り合わせた。
おもしろい。




9/1 いいねえ

いいでしょ、これ。
オーバルのリビングテーブル。サイズは1650mm。
高さは380mm。安楽椅子と組み合わせるので、若干高め。
床に座って本当に使いやすい高さは330mm〜350mm程度である。

完成したオーバルを眺めながらソウタと二人、感想大会になった。というか、いつもそうだけど。

で、安楽椅子も持ち込みの布で貼る事となったので、すごく楽しみである。その布は服用である。お客さんがテキスタイル関係の仕事をされているからだ。テキスタイル業界では、一宮市は世界的にも有名みたい。
安楽椅子はエビス椅子である。久しぶりの再会となる。




back