hwb work diary
2005/2

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2/24 納品終了
納品が終わり、少し寂しい気持ちがあるが、今の素直な気持ちとしては良い家具を考え作れた事に感謝している。
打ち合わせなどを含めた7ヵ月の間の事を思い出す。キッチンや下駄箱からソファやベッドまで、いろいろ真剣に相談して頂いた事は、僕にとって「やる気」のでる家具作りであった。家具を作って欲しいという事は、単に家具という形を考えるのではなく、過ごすべき時間の提案でもあると思っている。
おこがましいかもしれないが、こんな物が欲しいという思いを形にしていく過程は、「大切なものを大事にしていく」という事にこだわっていかないと、何だか中途半端な物になってしまう事があると思うのである。
僕が打ち合わせをさせてもらうお客さんは、本当に「何が大切か」を考えている人が多く、その思いにも「やる気」をもらっているような気がする。
その人達と話していると、胸の奥にある何かを感じる瞬間があり、なんだかわからないが、鳥肌がたってきて「そういう事を求めてくれているんだ」とハッとする。
「あー絶対ここだけは叶えてあげたい」と心底思う。僕がやっている事は、言ってみれば提案ではなく、確認なのかもしれない。
僕の持っている経験と素材を加工する術で家具という形にし、その人達の思いを「こういう事なんじゃないですか?」というような確認なのかもしれない。
もちろん、僕の経験での想像からくるものなので、僕らしさはあるかもしれないが、僕らしさを出そうとした僕プロダクトの提案なのではない。
だから、オーダーメイドは話を聞く事からしかはじまらない。
その人達から今も教わっている事は、物の奥底にあったり、背景にある部分の大切な何かである。
だから、僕は「木工職人」だと思うが、「家具デザイナー」ではないと思う。
大げさかもしれないが僕がこだわっている事がある。家具屋を営んでいるが、単に家具を売っているという事ではなく、それは木で「思い」を形にしているという事だ。
結果、家具になっているので、「家具職人」と自分の事は言っている。
微妙な違いかもしれないが、先にあるのは肩書きではなく、何とかしたいというムズムズしたこの胸から腕にかけての感覚なのだ。

あー明日からもがんばるぞ。


2/23 家具の写真の整理
明日は1日中、家具の納品だ。たくさん納品の予定があるので、撮影する写真も多いだろうと写真データを整理している。
既に2時間程経過して目がシバシバしてきたので、続きは明日にしよう。
で、画像は整理中に見つかったウォールナットの時間の経過による色の変化を撮影したものである。

手前は、5年経過したブラックウォールナット。
奥は製作したばかりの状態のブラックウォールナットだ。
店内の照明は黄みがかっているものの、同じ空間で撮影したものだから差は感じてもらえると思う。

手入れをしているとはいえ、この光沢はすばらしい。
ただの艶ではなく、無垢材の経年変化による色の落ち着きと、乾燥による「しまり」と、手入れ(ワックスとかオイル)による磨きなどによって5年経過したワイドチェストは実際にこうなっている。

たまに、「ウレタンとかラッカーとかで塗装してあるの?」と訪ねられる事もあるが、僕はこう説明する。「ウレタンなどの艶とは違い透明感がある。これは生地が磨かれた光沢だから、嫌みがない」と。
「磨いているのは木であって、塗装面ではない」とも。
僕が木を綺麗に仕上げるには単に見た目のためではない。
艶を出すために磨くのではなく、その素材が似合うように生地を仕上げて行った結果である。

今日夜家具の積み込みをしていると、その家具を使う本人であるお客さんがわざわざ来てくれた。出張の帰りにお土産を持って、ただそれだけである。なんだかうれしかった。
画像の奥のブラックウォールナットは4ヵ月程前に撮影したそのお客さんのキッチンカウンターである。

これから先もよろしくです。


2/20 納品前だから。
納品前の家具でいっぱいである。ベッド、ソファ、ダイニング、デスク、椅子、下駄箱、アームチェア、チェスト、、、、。考えてみると、全部オーダー注文だ。オリジナルのオーバルテーブルや01チェアやコンフォートソファも注文頂いている。 それまで完成したら、家具だらけだ。
オーダーの家具は、もちろんそれなりに時間をかけて考えてきた物なので、出来上った時はうれしい。
考えた事が間違っていなかったと確信ができる瞬間なので、正直ホットする瞬間でもある。
「良かった良かった、あれだけ考えたんだもん、そりゃ間違いないさ」と思うが、家具が完成するまではワクワクしながらもドキドキしている。
このワクワクとドキドキは、僕の家具作りには必要であり、ないと寂しくなんだかやる気は出ない。
幸い木には全てにクセがあり、僕の気持ちは木を見るたびに高まる一方である。
今週は納品が多くなりそうだ。家具が、そして作る事が好きだから、がんばれる。

納品が終われば、リビングに置くロウテーブル、玄関用の椅子とテーブル、ソファの横に置く木の固まりのようなテーブル、カウンセリングルームのテーブルとアームチェア、待ち合い用のソファ、それから近所にオープンするあんかけスパを出すカフェのテーブルと椅子達、、、。
家具が来るのを楽しみに待ってくれている人がいるから、がんばれるというのもある。


2/14 框
下駄箱が完成した。オイルを塗ってワックスを施すと木がしっとりし、それで本当に完成となる。
久しぶりに框組み構造で家具を作ったので、改めて家具の構造とデザインをじっくりと考える事ができた。
僕がデザインする家具は、どうしても構造から生まれる形が多い。
それは、無垢材での家具作りではとても大切な事だと考えている。
構造(フレーム)だけでも綺麗な物であるという事は、それ以上の細工は不必要な事だとも考えている。
それ以上の細工をする場合は、それが何らかの意味のある形でないと汗をかいて作る程の気力はでない。
手間をかけたくないのではなく、手間をかける部分を選んでいるという事だ。
例えば、触れた時に感じる「シャン」とした木肌の仕上げ。微妙な感覚ではあるが、手間をかければ、その部分の品が変わってくる。
無垢材を素材にしているんだから、まずは素材の良さを感じれるように努力をする訳だ。
だから、それ以上に飾るような細工は極力しない。
家具はそういうもんでいいような気がする。


2/9 質
音楽が好きな僕としては、いつかはスピーカーを作りたいと思っている。
僕の好きなスピーカーは、四角い木の箱のタイプである。市販の物で木製箱のものは、無垢材のものはほとんどない。あるにはあるけどエンスー的なものになり、値段もものすごく高価な物になる。
理由は、MDFのような均一な素材の方が、ムラもなく綺麗な音になるからなんだろう。無垢で作っていたら、それこそ大変だ。素人の僕にもなんとなく分かる。
家具と同様に、いつの頃から、木目というものは外側だけの化粧に使われるようになったんだろうなあ、、。
あれでは素材とは言えないな。いっそMDFらしく仕上げていけばいいのに、、、そうはいかないか。
本物のチェリーやウォールナットやカエデの木は、重さも、堅さも違う。
それらの差から、ウォールナットのスピーカーだったり、カエデのスピーカーだったりしたら、、、って考えると、
普段、無垢で箱(家具)を作っている僕としては、「いつか無垢で素晴らしいスピーカー箱を作ってやる」と闘志がわいてくる。
素材の違いから出る影響があってこそ、おもしろい。「だから、ウォールナットなんだ」「だから、チェリーなんだ」ってね。
とにかく僕は無垢材が好きである。中身がある事に、なぜかしらホッとし、そして癒され、安心するのである。
たまに、食べちゃいたくなる。


2/7 もうすぐだ
クルミの下駄箱がもうすぐ完成する。仕上がっていないものの扉も出来上っている。蝶番がもうすぐ入ってくるので、そしたら扉を取り付ける段取りである。
今回は框組みで作ったしっかりした印象の下駄箱になると思う。
木工でいうところの框組みは、手間がかかるが好き。
見た目以上に作り方も素朴な感じである。

お客さんは京都にお住まい。納品が楽しみである。


2/6 オリジナルソファー
コンフォートソファのセミオーダーだ。オリジナルサイズは2000mmの幅であり、プラス200mmで2200mmとなった。背丈を低く構えたコンフォートに似合うサイズ変更である。
オットマンは800mmの正方形。かなりゆったりしたソファ時間を想像できる。
ファブリックは黒と濃いグレーで平織されたも。
ちらりと見えるブラックウォールナットの木部との相性も良く、できあがったこのソファを見るたびにお客さん夫婦の声が聞こえてくる。
オーダーで作った家具を見ると、どうしても僕には声が聞こえる。その声は笑っているが内容はないしょ。


2/5 メープルのダイニング
完成し納品を待つダイニングテーブル。2100mmのハードメープルである。お客さんとどの木が部屋に似合うかをじっくり考えた。
ブラックウォールナットで考えたいた頃は、まだ部屋になっていない状態であった。他の家具が入って部屋となって状態で、過ごしたい時間を想像していくと「ハードメープルだ」とみ妙に納得できた。

6人分の椅子は02チェアベースのセミオーダーである。
画像の椅子は01で、これはドレッサーの前に行くものだ。


2/2 雪だ
雪なんで納品に行けませんでした。朝目が覚めてびっくり、こんなに積もっているとはね。
名古屋に住んでいる僕としては、雪の運転は苦手だ。
午前中はタスクとソウタと僕とで、雪かきをした。
雪を転がして集め、雪だるまに。作ったのはソウタ。
ちなみにカツキは朝6前時に出発したものの、工房に着いたのは10時頃だった。4時間も雪道と格闘してたどり着いたようだ。
結局、昼からは普段のような感じで、僕は製作中の下駄箱を進めた。
夕方、現場に行き家具の微調節をする。
帰り、また雪がちらついていた。


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