hwb work diary
2005/1

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1/27 メンテナンス
去年家具を作らせてもらったお客さんのお宅に、イサムさんのアカリを届け、家具のメンテナンスをさせてもらった。メンテナンスといってもワックスを塗るというような事では無く、テレビ台の扉の調節である。結構シビアに作ったテレビ台なので、微調節も必要となった。たぶん、普通はこんなにシビアに作らないし、できないと思う。まして素材は無垢材な訳だから、簡単に寸法どうりに保ってくれない事もある。
休みの日の時間におじゃまさせてもらい、ついでにいろいろメンテナンスもさせてもらった。なかなか明るい時間に余裕の時間がなかったので、今日こそはと撮影をさせて頂いた。
今度はエントランスに置くべき家具をお願いして頂いているので、がんばらないと。去年の8月頃から頼んでもらっているのに、なかなか作りだせなくて申し訳ないが、時間分納得できる物にして届けたいと思う。
画像左 オーダーメイドのテレビ台とコンフォートソファ。テレビ台の下はウーハ−などが入っている。ソファ用の布を貼ったネットを取り付けてある。
もちろん、脱着できる。
画像中央 なら材の階段とカツキ。なら材のタフさと素朴さと堅実さを感じる事ができる。階段の製作はよっぽどの事がない場合は断っている。
理由は現場監理までは僕らはできないからである。監理をできる立場の人に熱意がないと作っても酬われない事もあるからだ。今回の階段は結果、実に良いものとなった。作ってよかったと再会するたびに思う。
画像右 アームチェア。ここに置く事を想定してのコーディネイトである。ここで本を読みたいよ。


1/26 下駄箱
相談を受けたのは1年ぐらい前の事だ。依頼を頂いた下駄箱の製作に入っている。この1年に家を新築され、今は新居にお住まいである。
そしていよいよ製作となった。去年の暮れに製作できればよかったのだが、こちらの都合で無理をいって少し製作を延ばして頂いた。
京都にお住まいなので、僕らが直接納品に行けるのでうれしい。
メールで注文頂く事も多いが、遠くなると直接納品できない事を考えると少し寂しい部分もある。
それでも、それも一期一会という事でできる限り製作させてもらっている。
家具が届くまで、図面での想像の形でしかない訳なので、遠くから注文される方には正直不安もあると思う。
さらに、それでも注文頂くという事は、不安以上の期待と信頼を抱いて頂いている訳なのだから、それに応えるべく家具作りに励むのだ。
だからといっていつもと同じように誠実に作る他はなく、最終的に満足してもらった声を聞くまでは、僕もドキドキした気持ちは続く。
「これなら、きっと満足してもらえるはずだ」と納得しながら作る。自分がその人になったつもりで観察し、今迄の経験をヒントにし手応えを感じながら作る。そんな感じである。


1/25 02 Arm Chair
02チェアのアーム付だ。
オリジナルで作っている01も02もどちらも好きな椅子だけど、アームをつける事ができるのは02チェアである。
構造から01でアームは難しい。今回の02アームは座幅を広くし02に似合うアームを前脚から延長させたものである。
hwbの椅子といえば、01のイメージが強いかもしれないが、02も01と同じくらいよく作らせてもらう。
とにかく目立たないデザインの02チェアだが、そこが気に入っている部分だ。細く堅いイタヤが使い込まれ光沢が出てきた時に、この椅子の目立たなさが魅力に変わると確信している。


1/23 日曜日
今日はいつもの日曜日以上にたくさんの人が来店された。先月に雑誌「ストーリー」が紹介してくれたからかと思ったが、話を聞くにはそうでもなさそうだ。特に宣伝もしないので、「たまたま」という事に落ち着く。
僕らの作る家具は、共感してもらえる人に気に入って使ってもらう事が1番良い事だ。
無垢材の家具は思った以上にタフで気軽に使える。だけど使う人に大事にする気持ちがなくては、材料が可哀想である。
具体的にどうやって大事にするかは微妙で、美術品のように扱われてしまえば本末転倒で、手入れのみえる生活道具であってほしいのだ。
使っていく中で付いていく傷や光沢は、無垢材だからこそ味わえる本物の素材の楽しみでもある。
革だって油が抜けきってしまうとカサカサになる。でもオイルを塗ってやると生き返る。年に数回のオイル塗りやワックスがけも楽しいものだ。
メンテナンス用の油は、お店に来てもらえれば無料でお渡ししている。
いつでもいらして下さい。


1/19 足が筋肉痛ですう〜
コンフォートソファはやっぱり良い。エビス3は明後日プレオープンだよ。
今日はあっちこっち移動の多い日であった。予定どうりではあるが、よくもこんなにまとめて予定を組んだもんだ。組んだのは自分なので何も言えんが、、。
朝、8:30。現場にキッチン設備(食洗キ、ガスコンロ、レンジオーブン、浄水器)を搬入。後現場のため、段取りを。
9:00。張り替え依頼のソファを引き取り。バックスキン(革)に張りかえ希望。(2階)から。けっこうくたばった。
11:30。再度現場に忘れ物を持っていく。すぎさんにあいさつ。すぎさん「ウッス!」。僕「はい、これ届けもの」
12:00。張り替えをしてくれる張屋さんに持ち込む。事前の段取りと持ち込んだバックスキンとを確認し、指事。椅子7脚も。
2:00。材木屋さんに到着。明日から製作に入る用意してもらっていた材料を引き取りに。次の次の次に作る材料も検討し、決断。持って帰れる分は積み込み引き取り。
4:30。工房に帰り積みおろし。
5:00。ソファとローテーブルと安楽椅子とラグを積み込んで出発。
6:00。長者町エビスビルパート3到着。4階の設計事務所さんからの注文。打ち合わせ用のリビングセット。
8:00。くたくたになってコインパーキングから出る。
8:30。工房に帰ってきて明日の段取りをチェック。
忙しいのは好きだから自業自得だ。


1/16 おつかれさん 
日曜日が終わり、明日はお休みだ。お店をオープンしてからはお店の営業にあわせ日曜日は働いている。
お店がオープンしてもうすぐ1年となる訳で、この生活リズムにもようやく慣れてきた。
月曜日休みのいいところは、どこに行っても比較的ゆっくりと過ごす事ができる事かな。
美術館とかは休みが重なるので行けないが、その分計画的に予定を組む癖が付いた。
とにかく忙しかった僕の一週間が終わり、明日は明後日は充実した気分で休みを過ごせそうである。

そうそう、もうすぐ納品車であるデリボーイ(アイボリー自分塗装)が排ガス規制のため、さよならとなる。
7月までに、次の車を探さないといけない。
愛着があるので残念ではあるが、しょうがない。しょうがないのか?、、、大事にしてきたのに。
で、次の候補に、ハイエース(レジアスエース)を検討中といったところだ。
好きな車となると、古い車ばっかりで、排ガス規制でひっかかる。納品車として信頼のある車となると、、。
う〜ん、家具屋って納品はかかせないし、たくさん道具を積み込んで現場にも行くし、車も大事な道具なんだよなあ。
今度のハイエースは3メーターの荷台を確保してあるので、その辺には確かに魅力を感じる。でも、「車のデザイナーさん、もう少し愛着の持てそうなデリバンを考えて下さい」と真剣に願う。まあでも、アイボリーカラーもあるので、たぶんそれかな。
holly wood buddy のロゴをアイボリーに入れて納品だな。「只今、納品中」のプレートものっけて。
今さらだが、デリボーイにロゴを入れてあげようと思う。そしてハイエースになってもナンバーは受け継がせる事にしよう。
そうだ、そうしよう。


1/15 現場にて
メープルの引き出し付きのチェストはやっぱり良い。ボリュームとメープルと細かいディテールがすごく良いと思った。
衣類を収納するためのメープルチェストがもうすぐ完成する。サイズを変更しオーダー頂いた
ベビーチェストだ。
お客さんは、特に丸い脚の部分が気に入ってくれている。そもそも、
ワイドチェストに似合うバランスの脚をと、考えた丸脚だ。
その後、
16チェストや12チェストと同じ脚で作っていたオープンシェルフもワイドチェストタイプの脚に変更した。
雰囲気のある脚付のチェストを作りたくてしょうがなかった11年前を思い出す。
夢中になって試作を作り試行錯誤するような物作りは今でも大好きである。

仕事が終わり、夜。
春に家具を作らせて頂く(依頼を頂いたのは去年の夏頃だったと思う)お客さんのお宅におじゃまさせてもらった。といっても現在建築中。
養生した床の上には、石こうボードが積んである。この光景を見ると、僕はワクワクしてくる。
家は家具より大きな物作りだ。その大きさ分の思いを、現場に行くとリアルに感じる事ができるので、僕に静かにやる気を感じさせてくれる。
ワクワクする。よし、がんばろう。
採寸をしていると、お客さんが「あのチェストをここに置きたい」「あのテーブルをここに置きたい」と話してくれる。
僕は、自分の家具を自信を持って勧める事ができる。あとは、サイズを空間に合わせ、微妙に変更しバランスを考えていく。
テレビとソファとの位置関係やダイニングで過ごす時間の事を、考える。
「日のあたるソファで寝転んだら、気持ち良いだろうなあ」「ここにチェストがあると、物を取りに来るたびに、ちょっとうれしいだろうなあ」
「こっちにいる時に、向こうに見える椅子はやさしそうだろうなあ」と感じるまで。

「本当は昼間に来るべきなのに、夜にしか来れなくて申し訳ないです」と言った僕らに、「いやいや、そんな事はないですよ、ありがとうございます」
と、笑顔で見送ってくれたレオン似のお客さん。
家作りは物作りで時間作りなんだ。生きてく上での大切な事なんだと本当に思った。そして家具屋の僕ではあるが、改めて感動する事となった。

帰りにお腹が鳴るので、行ってみたかった洋食屋に寄った。
入ってびっくり。カウンターに座った僕らの目の前で調理をする二人は双児であった。
彼らが忙しそうに狭いキッチン内を動くたびに、笑えてくる。振返ったと思ったのに、隣に現れる。
かがんでカウンターから見えなくなったと思ったら、向こうから現れる。ハンバーグを食べながら、「あーこの人が、いやいやこの人達が料理してくれたんだ」と思い、込み上げる笑みをこらえるのが大変であった。また、行こう。
よし。


1/14 ソファ
去年の暮れに引っ越しをし、ダイニングテーブルと椅子を納品させてもらったお客さんの家に、打ち合わせに出かける。
お客さんも自営業をされている方だ。夜の7:00以降の方が御主人も帰ってきているという事で、夜8:00に打ち合わせに行かせてもらった。
御飯時なので、その辺の事も考えて、少しゆっくりめに到着。が、ちょうどタイミングよく(悪く?)食事されるところで、「何をやってんだオレは」と瞬間反省。
「いっしょにどうですか、どうですか」と言ってくれる。結局、すき焼きをケイコと僕は御馳走になってしまった、、。
ビールは打ち合わせどこじゃなくなるからと断ったくせに、肉をしっかり食べた僕。また反省。
とにかく、テーブルを気にいってくれている事と、部屋にあったダイニングの生活ができている事を聞かせてもらい、僕としてはすき焼きのお肉の美味しさ以上にうれしく、「あー作ってよかったあ」と実感する事となった。
それから、ソファのサイズ、形、過ごしたい時間など、そんな話も聞かせてもらった。
そして、家中を案内してくれる御主人。最後に案内してもらった屋根裏で「あー家って素敵ですねえ」と。
それぞれの生活があって、いろいろな家がある。少しだけその生活を見せてもらえる僕らは、もしろ自然にそのお宅に合う家具を作る事ができるもかもと思った。
作ってよかった、作ってよかった。


1/12 テーブルと椅子
テーブルはもうすぐ完成する。もうすぐだ。椅子は02CHAIR。アームをつけたセミオーダータイプもあるので、いつも以上に時間はかかる。
02のアームが付いたものは初めて作るので、楽しみだ。
とにかく、忙しく仕事をさせてもらっている。HWBの家具作りは、本当に手間がかかる。気を配る点がいくつもあり、よくよく考えるとすごく大変な事をしている事に改めて気が付く。「こんなに手間かけんよなあ、普通」と思いながら「普通って何?」って同時に思う。作り手の自分が、木を触りながらやってきている事なので、「手間を省けないのも作り手らしいな」と思いながら、冬になると痛む腰に手をやる。
なかなか派手な事はできないが、毎日コツコツとやって行く家具作りは、僕には合っている。でもやっぱり普通の家具作りより時間はかかるよなあ、、、。だから「普通」って何。
僕の家具作りは、全ての工程に人の手が必ず必要で、道具は使うものの「手作り」という事になる。手で感触を確かめないとできないからだ。
作った家具のひとつひとつの部分をすべて、手で確かめる為に触っているはずである。しかも何十回も。仕上がり具合を手で確かめるのだ。


1/10 愛知万博
先日、お客さんの家にイサムノグチのアカリを2種類持って訪問させてもらった。いろいろ家具を作らせてもらっているので、お宅に訪問する事はうれしくも、緊張する。自分で作っていながら「本当によい家具」だと、心の底から思う。もちろん、その空間やお客さんに似合っているかどうかが、大切ある。
その日動いている「リニモ」を見た!
愛知万博かあ、、、。「2005年に、僕は何をしているんだろう?」と万博が決まった時に思ってから10年くらい経過したのかな。
やるからには、本当に意味のある心に残る物であって欲しい。「これからの未来、普段の生活が、ささやかにでも感動のある毎日になる」そんなふうに思わせてくれ、そしてそんなふうにして行こうと思わせてくれるならば、、、。
明日も寒いけど、がんばろう。


1/9 工房で思う事
すっかり通常のモードになり平穏な作業を取り戻し、気分はよい。年明けから打ち合わせの予定がびっしりなので、昼間製作夜図面という時間配分で過ごしている。打ち合わせをさせてもらい、「どんな家具がいいのか」考え、「これがいい」と思えるまで、図面らしい図面は作成しない。
僕は作り手である訳で、体を動かしている時がベストな状態らしく、なんだか想像力も増しているような気もする。単純に立って動いている方が活動的になれるからかな?そういう訳で、作業中にアイデアを具体的に「良いのか悪いのか」確かめれる瞬間は多いので、助かっている。
例えば、2000mm×820mmの面積がどのくらいのバランスなのかは見れば、一目瞭然。1500mm×900mmだと、このくらい。1800mm×400mmだと、このくらい。とにかく作っていると、それを立てたり、寝かしたり、ひっくり返したり、と何十回とする訳で、嫌でも体で覚えてしまう。
そういう事の積み重ねが僕らにはあるから、僕らの「感」は結構頼りになるかもね。
それでも、微妙な部分のバランスは想像を超え、入り乱れる事は多いので大変である。

そんなこんなで平穏に作業を進め、イタヤのダイニングテーブルはもうすぐ組み立てだ。
今日、思った事がある。キリの摩擦で焦げつき、臭うイタヤは「天津甘栗」を連想させる。甘く香ばしい。
正月に買った「天津甘栗」一袋は既に食べてしまった、、、。明日、また買いに行こうかな。


1/6 寒いな
朝、寒くない?朝、7:00に段取りをするためにゴソゴソしていると気付いた。とてつもなく寒くないか?思わず、お店のヒーターをオン。
う〜ん、本来なら冬眠するべきではないのかと思った。
とくに、工房は動いていないと寒い。自分が活動的になって熱くなってくれば、上着もいらない程になる。別に工房の温度がそんなに上がる訳ではないが、汗ばむ。だから、暖まるには自分が熱くなればよいのだ。
午後には、ダイニングテーブルとチェストの気取りにかかり、予定どうり上着を脱ぎ、時間を忘れ没頭する事となった。うん、うん正月より楽しいぞ。
僕は作っていないとダメみたい。


1/4 さあ、がんばりましょう。


2004年
めし職人ケイタの御馳走で忘年会。割烹料理人だ。

新年だ、新年だ。2005年である。正月気分も昨日まで。「仕事に復帰できるかなあ、、、」なんて一瞬は思ったものの、もうそわそわしている。
お店は6日から営業とさせてもらっているが、理由はこうである。お店の床のメンテナンスであるワックス塗りをしたいためだ。
それと仕事の段取り+準備が必要であるからだ。
年末の大掃除で家具製作に不必要なものは「いらないもの」として廃棄した。木端は大量に出たが、既に薪ストーブ行きとなり、木端置場はスッカラカンだ。とにかく家具を作るという工房なので、もったいないから捨てないでおこうというハ材だらけであった。

一方併設したお店のほうは、正直年末に手がまわらず大掃除らしい事は何ひとつできなかった。31日に友人達を招き「忘年会年越し飲み会」をする予定があった事もあり、掃除はその後の方が良いと思った訳だ。結果オーライ。祭りの後。大切な友がいるからがんばれる訳で彼等のために、今の僕しかできない事なので、僕としては十分満足である。


2005年初笑いは友人のライブ。裸にバンジョー。彼からどれだけ感動をもらっている事か。

とにかく、毎日地道に生活をしていたとしても、気が付けば1年なんてあっという間に過ぎていく。まるで昨日の事のように思い出される事も、5年も前の出来事だったりと、、。僕の場合その毎日は、わかりやすく言えば「家具」という事がらを中心に過ぎていく。もう少し正確に言えば、「物を作る」という事に集中しているという事だ。他の事は結構「おまけ」みたいにさえなっている。大げさに言うと「食べる」事すら後にくる程だ。
物作りと格闘すべく生活であり、生活をするための家具作りでもない。結果そうなっているとしても、僕の中ではそうでないと断言できる。
僕は、絵を描いたり、パズルをしたりするのが大好きな少年であった。何かを想像し現実の物にする事が大好きである。実家が段ボールの箱屋を営んでいる事もあり、段ボールを素材に「迷路」や「太陽を見る眼鏡」や「ピョンと跳ねるカエル」や「家」なんかを工場に遊びに行っては作っていた。

ついでに、僕の笑いネタを披露しよう。好奇心旺盛な年頃だった僕は身近な素材で遊んでいた。確か小学4年生の時だったと思う。その頃雑誌か何かで読んだ「割り箸鉄砲作り」に熱中し、割り箸にはまっていた頃だ。その日、割り箸鉄砲で遊んだ僕はさらなるオリジナル鉄砲を構築すべく格闘していた。
が、思うようにスムーズにはいかない。作っては分解しイライラモンモンとして、割り箸をどうしたらいいのか分からず悩んでいた。
そこに、なぜか発砲スチロールがあった。イライラモンモンとしていた少年の僕は、発砲スチロールに割り箸をさしていた。取り組むべき相手をを変え、ブスッ!ブスッ!と。そうこうしているうちに忍者になった。忍者気分で割り箸を飛ばす。「おっこれは楽しい」。で、その発砲スチロールに深くくい込んだ割り箸はなかなか抜けない。脚で発砲スチロールを抱え込むようにし両手で割り箸を引っこ抜く。そんな感じだ。
そんな事をくり返しているうちに段々忍者の腕も上達していき、発砲スチロールにより深くくい込ませれるようになった時である。両足で抱え込んで引っこ抜こうとしたが抜けない。「おっ硬いぞ、、、こいつは手強いぞ、、オリャア!」目一杯引っこ抜いた。抜けた。抜けたと同時に目に刺さった。「グワッ!やられた」と思った。
ものすごく痛かったけど冷静だったのを覚えている。「おれはバカか、恥ずかしい失敗をしてしまった。恥ずかしいけどお爺ちゃんに病院に連れていってもらおう」、、、。幸い大事にはいたらなかった。眼帯をした僕は「もし剣道をやっていなかったら黒目直撃だったはずだ」「なんて素早い素質をもっているんだ」と。
少しも凹んだ記憶はない。それどころか、あり余った「創作のパワー?」を余してしまった僕は、病院の帰りにお爺ちゃんにおねだりをした。
で買ってもらったのが「吹き矢」だ。僕のイメージでは「眼帯をした忍者が吹き矢をする」だ。「これだっ!」
そして家に帰ってきた悲劇の忍者の僕は「吹き矢」の修行を開始した。眼帯をしてポーズをとり吹き矢を「吹く」。その日の僕はなぜだかいつも以上に好奇心満々であった。吹き矢を「吹く」そんな簡単な行動に疑問を感じ、「吸ったらどうなるんだろう?」と思ってしまった。ははは、、。僕はその日2回目の診察を受けに国立病院に行く事になった。行動する前によく考えなるようにしよう。そうやって好奇心による突発的行動と失敗をくり返し少しづつ大人になってきた訳だ。

好奇心を持って何かに取り組んでいれる時間、日々はものすごく「濃い」事だと思う。いつまでたっても忘れない程、深く浸透する何かを与えてくれる。
さあ、今年もがんばろう。自分の毎日を活き活きとした物にできるよう地道に努力である。
にんっ!


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