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7/29 奥が深いからこそ楽しい仕事 |
最近、遅くまで仕事している。作ったり、アイデア出したり図面したりと。 今日は、宇野さんの現場に作ったキッチンを取り付けにいってきた。 2700mmのクルミ材の吊り戸棚は連結なしで一本で作ったので、余分な構造がなく無駄がなく良い。 ただ、搬入や取り付けには工夫が必要である。 工房に帰ってきた僕としては、吊り戸棚を吊り終えたので気分は軽やかである。 僕の家具作りに共感して頂ける方に出会える機会に恵まれ、今年中は予約で仕事がつまっている。どういう理由かは自分ではわからない。決して家具を安売りしている訳でもないし、スムーズな手慣れたシステムを持ち合わせている訳でもない。 毎回、必死なだけだ。 いろんな人がいろんな相談をしてくれ、経験がさらなる冒険心をかきたて、必死で考えるとものすごく勉強になり、不可能が可能になる瞬間は多い。 僕のオーダー家具作りは経験を活かしたノウハウはあるものの、決まったパターンはありえない。 がんばっている。言えるのはそこだけ。 |
7/24 家具のデザインを。 |
家具を作る前にやるべき事がある。それはどんな家具を作るか考え、納得し決断する事である。 オーダーメイドの家具というと、特別な印象を持たれる方も多いと思うが、意外に「一点物」の家具をオーダーするという事が日常的に行われているという世界がある。それは建築現場での造作家具というものである。量産できない建築には「特注」と言うものは密接に関係している。10年程前、僕はその造作家具屋で特注家具の設計をさせてもらっていた。 その「特注」「オーダー」「別注」というような言葉の本質は日常の設計の中で薄れていく感覚が正直あった。 素材しかり、デザインもいつもどうりの違和感のない家具が現場に取り付けられていく様子は、僕に「これでいいのか?」と問題意識を持たせる事となった。慣れていい部分とそうでない部分があるのに「予算」を全ての理由にして「しょうがない」とデザインに小細工をする他、手はなかった。 でも、今は違う。素材への不満がないので、素材に飾りをつけなくても良いので小細工をするのが恥ずかしい程に感じる。 家具に対する考え方も少しづつ変わり、独立した頃にはその背景にある本質を模索するようになった。 「テーブルの高さは700mmだ」から、「デスクワークするにはこのぐらいの位置関係が腕が疲れないだろう」に変わった。 プロダクト的な人間工学数値は参考にするものの、人の感覚や錯覚を含めたヒューマンスケールを重要と考えるようになった。 家具の種類もわかりやく分類するためにチェストやソファなどの名前はあるものの、その分類だけにはあてはまらない生活があり、既成概念が最適なものさしになるとは限らないと思うようになった。 信じるにあたいする信頼ある事は、自分が経験した苦悩と感動で、それこそが、根になり幹となり、、、先につながっていくのだと。 ただの板一枚にも、素材、厚み(サイズ)、仕上げでまったく違った物になる。 オーダーの家具の注文で、どんな家具が良いのか考えていると思う。本当に必要な事はなんなんだろうと。 |
7/17 暑いよ〜 |
やばいくらい、暑い。忙しいので、仕事をはじめる時間をなんとなく早くしているが、もともと8時には作業に入っているので、こうなると7時からやらないと、早くなった気がしない。 しばらく7時スタートがんばってみようと思う。 基本的に夕方になれば、体は疲れてくるので6時には作業を終えるようにしていたが、たまにはしょうがない。夜9時まで家具作りをしている。 昔、独立の資金をためるために、めちゃくちゃ働いていた経験がある。額縁や時計を作るクラフト屋で契約社員となって働かせてもらっていた頃。「自分の技術を活かし1年間働かせて下さい。」「僕には夢が合って、独立資金をためたいのです、だからめちゃくちゃ働かせてもらえませんか」と。すごく理解のある社長で、僕の夢を応援してくれる事となった。 なんでもやると言ったからには、腹をくくっていたので、辛い事は何もなかった。むしろ、がんばっている自分が笑えるぐらいだった。 普通に朝から夕方まで、NCルータ−やルータ−盤、傾斜盤やパネルソーなどの木工機械をフル活用し数百個単位で(300コ〜多い時には、それ×3ぐらい)作りまくって、夕方からは出荷できるように、時計やら温度計やらフレームやらエンピツたてやらを組み立てる。そして夜9時くらいになると、出荷の準備でものすごい高速で指を動かし梱包をする。深夜12時がラストの出荷できるチャンスなので、なんとしても名古屋インタ−隣の佐川急便まで滑り込まなくてならない。ギリギリなんとか滑り込み荷物を託す佐川急便のお兄ちゃん達も、がんばって働いていた。僕は勝手に労を共感し、「あ〜おれもがんばるよ」ってな具合で工場に帰り、缶コーヒーで祝杯である。全然平気であった。夢があるからへっちゃらなのだ。ゴールデンウィークなんかの連休があると、勝手に工場に出ていき、世話になっているからと休憩室のカップボードを作ったりしていたぐらいである。 とにかく、どこまでが仕事か区切りがないような状況で、めちゃくちゃ長い時間働かせてもらっていたのだ。 独立して6年目。生涯職人でいるために、あまり無理をしすぎないようにしているが、時には夜遅くまでやらなくてはならない時もある。そんな時には、必ず思い出す。クラフト屋で夢を語っていた頃の事を。 |
7/15 革ソファ | ||
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7/14 キッチン |
宇野さんの現場、お盆休み前に納品するべく家具があり、かなりがんばって製作に取り組んでいる。宇野さんとお客さんの顔が浮かぶ。がんばるぞ。 もちろん忙しい時程「段取り」が重要となってくる。 キッチンと天井まである下駄箱の扉8本、2760mmのリビングボード。全てお盆前に納品予定だ。 キッチンの天板はステンレスである。すでに天板はステンレスの板金工程にある。 全部の木部パーツを、ノンストップで木取りした。山のようにあったクルミの材料が今は各部材サイズに木取りされスッキリとしている。1度に木取りをするという事は、先の先の先の先の、、、先を予測しながら将棋をしているようなものだ。さらに同時進行でトランプの神経衰弱もしているくらいのたいへんな作業である。5年前の僕では確実に出来なかったであろう。毎日、日常的に無垢材と接していなくては、この「勘」は身に着かなかったに違いない。 僕ら無垢材を扱うの家具職人は「勘」を働かせなくてはならないポイントが至る部分にあり、「勘」が狂えば終わった作業が全て無駄になってしまい、時間と材料を失う。だからこそ、常に木の細胞まで見るくらいの気持ちで取り組んでいるのだ。 異常なぐらいの熱気は、気温が高いという理由だけではないな、たぶん。 |
7/10 搬入 | ||
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7/8 枠 |
建具を組み上げた。サイズが大きく、一人では組上げれないものもあった。 ガラスが入る建具であるが、現場にて取り付けられるので今は木枠のみだ。。だから大きさからすると非常く軽く、よけいに軽やかに感じた。 思ったのは、その大きな木枠はそれでけで十分綺麗な存在であると。 僕がよく思う事がある。木は軽やかにもなるし、重厚にもなる。パーツ一つ一つのボリュームが非常に大切で、そこにこそ素材を活かすポイントがあるように感じ、またそれに気づく瞬間はほんの一瞬なので、注意していないとなんとなく終わっていってしまうような気がする。このサイズでないとダメと言う事ではなく、素材から放ついろんな瞬間を見のがしたくはないという事である。 明日最終の仕上げをする。もうすぐ現場に搬入である。 |
7/6 今年もやりました | ||
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7/4 しっかりと | ||
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7/3 オープンシェルフから。 | ||
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7/ 2 クルミにチェリー。 | ||
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7/1 今年も夏がやってきた。 |
いつの間にか暑くなっているが、今日、今年はじめて「夏だあ」って実感した。セミが鳴いているではないか。 いよいよだね。 夏は好き。夏だけが好きな訳ではないが、暑くてわかりやすいので特に好きである。 ケイコは春が好きらしいが、僕は脳の辺りがトロケソウになるから退屈に感じる。 秋は寂しくなるから好き。Tシャツに飽きた頃に長袖を着れ、新鮮だからちょうど良い。 でも、寒いのか暑いのかハッキリして欲しいところだが、快眠できるこの季節が無ければ夏のオーバーヒートした気分も冷ませないだろうね。 冬は、正月があるので好き。みんなに会えるから、それで十分。 僕が夏が好きなのには、季節の感覚以上に小さい頃の夏のイメージにあると思う。 夏休みは何でもできそうな気がしていた。自分で時間を管理して、自由に好きなところへ行ける。自由研究ってものができるのも夏休みぐらいだろう。ある夏の大切な思い出を話してみよう。 小学生の僕は、自由研究に燃えていた。何をテーマに選ぶか、夏休み前から妄想している程だった。もっと言うなら去年のリベンジをするべく自由研究なので僕の探訪はつながっていたのだ。 ある年、カビの観察をしようと決断した僕は、どうしても『シャーレ』が必要となった。学校の実験室でしか見た事のないシャーレはどこで買えば良いのか分からず、おじいちゃんにデパートに連れていってもらった。今思えば、「別にシャーレでなくてもいいじゃないか」と思う。 で、なんとか購入した透明がラスのシャーレは、とても涼し気に感じた。軽やかなシャーレごしに夏の空をポケーと何時間も見ていた僕はそこに自由を発見したのである。なんでもできるんじゃない? 「よし、実験開始だ!」カビを観察するべく、様々な菌をシャーレに入れ、そしてそのシャーレを炎天下のトタン物置きに配置した。1日3回チェックをし、刻々と変化するカビを観察してやろうと目論んだのである。 結果は無惨。1日でシャーレ内にカビが目一杯になってしまい、研究は1日で終わってしまった。「ああ〜オレの軽やかで涼し気なシャーレがあ、、、」 夏の大切な思いでである。翌年リベンジしたが、今ではシャーレの事の方が重要であるのでカビの事は良く覚えていない。 その頃から、汗をかいてまだ見ぬ何かを探索する事は、僕にはかかせない夏だけの特別な過ごし方である。 修行させてもらっていた頃、はじめて自分で仕事として椅子を作らせてもらったのも夏のお盆休みの時であった。 暑い暑い夏は、何かに取り組むには最適だと感じる。汗かいてがんばろう。 |